公文式 勢田教室 指導者
河野 真理子(かわの まりこ)
三重県出身。公文式指導者募集のダイレクトメールを読まれたご主人のお勧めで公文式を知り教室を開設。公文式英語教材や公文式英語専用のリスニング機器などの指導者モニターやヒアリングを通して公文式教材の進化に貢献してきた。創始者・公文公と直接親交があり、公文式英語教材・指導について創始者からも直接ヒアリングを受ける。指導者向け機関誌『やまびこ』に掲載された「公会長を囲む座談会『公文式語学教育の可能性をめぐって』」に登場。指導者対象の西日本集中研修「指導者講座」で指導者講師を務めた他、「教材指導フォーラム」での発表や「九州沖縄ゾーン集中研修」などでも講話を行う。指導者研究大会では分科会「中高生指導講座」にも登壇。香港での指導者向け講座やアメリカでの20周年記念式典へ参加してメッセージを伝えた。
公文教育研究会 広報部長
景山 忠男(かげやま ただお)
1993年入社。国内教室事業に30年以上携わり、国内4地域でジェネラルマネージャー、リージョナルマネージャーを歴任後、2023年7月より現職。
英語の文章を読みこなせる力がつけば
勉強はもちろん、人生を豊かに過ごすための武器に
景山:河野先生には英語教材の改訂の際にヒアリングやモニターにご協力いただき、KUMONに貢献していただいてきましたね。長年のご貢献、本当にありがとうございます。
河野:教室を開設した当時は算数・数学だけでしたが、その後に英語もスタートできたのがうれしかったですね。指導者としても英語の開設は一期生で、息子と娘も最初の英語教材で学習した一期生です。

私は高校入学時に病気になりすぐに入院し、一学期はほぼ学校に行けませんでした。高校は進学校でしたから授業の進み方も速く、3か月休学している間に英語は知らない単語ばかりになってしまいました。大人になって公文式を知ったときに「あの時に公文式で学べていたらよかったのに」と真っ先に思いました。
だから困っている子どもたちを見るとお手伝いしたいと本当に思います。学校へ登校できない子たちにもKUMONのシステムがあの時にあったら、あんなつらい思いはしなかっただろうから、子どもたちには私と同じようなつらい思いはさせたくないですね。「わからないところから勉強できる」KUMONで学習させてあげたいですね。
英語や国語がスタートする時、まわりの指導者もみんな一期生ですから、お互い指導についてコミュニケーションをしながら学び合っていきました。それぞれに得意なことがありその話を聞いているだけでも学びになりました。また同じ教材を使って指導して、それぞれの生徒の様子を話し合えることは、指導者として大切だと思っています。そういう指導者仲間がいると仕事へのモチベーションも上がります。私の今のKUMONがあるのは、指導者同士が話し合って学び合って当たり前のものとしてきたものがたくさんあるからだと思います。
指導者になって10年くらい経った時には、本当に忙しかったですね。英語の教材を改訂する際に本社からヒアリングをさせてほしいとのことで東京まで行ったりしました。どうやったら教材がもっとよくなるのか、とことんヒアリングに応じましたね。「E-Pencil」(公文式英語専用のリスニング機器)など様々な試作品のモニターもしました。英語教材改訂のお手伝いをさせていただいているうちに「教材ってなんて面白いんだろう」と思って、教材を作る側にまわりたいと思ったくらいです。
公文式英語は、「高度な英文読解力」を到達目標にしています。英語教材に出てくる海外の名作には、まだ日本人にはあまりなじみのない作品も含まれます。そういった他国の人の感性や考え方を知ることは、国際化する社会の中で様々な人々とコミュニケーションをとる上で、とても重要なことだと思います。
また、英語で「書く」ことができることはインターネット社会では強みになります。世界の首脳陣同士が英語で話していることからも、平和を中心に考えると英語で「話す」こと、「書く」ことは重要になってきます。

景山:公会長はかつて「読解力があれば、いろいろな本を読んで、自分の力でどんどん学んでいけるのですから、読解力とは、“勉強力”を支える大きな柱の一本と言えるでしょう。そして、もし、外国語の文章を読みこなせる力がつけば、勉強はもちろん、人生を豊かに過ごすためにも、有力な“武器”になってくれることは間違いありません」とおっしゃっていました。
公文式英語では語学習得に必要な「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を育むため、毎回の学習で「読む」「聞く」「書く」と「音読」に取り組みます。英文読解力を突破口としてなるべく早く高度なレベルまで到達することで、「聞く」「書く」といった力を効率よく伸ばすことができ、「話す」力の土台づくりにもつながります。このようにして身につけた高度な英文読解力は、やがて中身の濃い会話や、論理的で説得力のある英文を書く力といったアウトプットへと発展していきます。
こういう想いと日本での実践から、英語教材は日本だけの展開にとどまらず、2004年には海外の非英語圏向けの英語教材も開発されました。最初はブラジルで使用を開始し、アジアやヨーロッパでも使えるようになりました。
KUMONで計算の能力が「しみしみ(しみ込んでいる)」
中高生で受け継がれる継続の大切さ
景山:20年くらい前に河野先生の教室に初めて訪問した時に拝見した、夜7時以降の光景がとても印象に残っています。その時間で学習する中高生たち全員が深く集中して静かに学習している姿に圧倒されました。「これはすごい!」「この光景こそ公文式教室で目指したい状態だ」と感激しました。私がKUMONの社員として仕事をするにあたっての原点が、あの光景です。これこそ「可能性の追求の極み」だと感じました。
河野:県内高校のトップ校に入ることを目指すなら、公文式での先取り学習に意味があることを、保護者の方々もよくわかってくださっていますからね。

景山:あの時は幼児指導の取材で教室を訪問したのですが、河野先生に「幼児指導もすごいですが、中高生の指導もすごいですね」とお話ししたら、「中高生の指導が好きなんです」とおっしゃったことを今でも覚えています。
河野:今も中高生がたくさん教室に通っています。「十年継続特別研究会賞」※1の賞状が本部からたくさん届いています。
※1 同一教科の学習を10年間絶やさず続け、日々の努力を重ねた生徒をたたえるための表彰制度。長期間にわたる継続の偉業をたたえ、特別な賞状などが贈られます。
景山:あの中高生たちのように立派な姿になってほしいから、幼児から学習してほしいという想いで、幼児指導にも力を入れておられるということですよね。
河野:教室では、学年がひとつ上の子が下の子に「KUMONやっといた方がいいよ」と言ってくれていて、中3の子には高1の子が、高1の子には高2の子が言ってくれています。子どもたちも学年が上の子たちの言うことだと素直に聞くんですよね。長年この教室で一緒に学んでいて、仲もいいので。
あるご家庭のお母さんからは、上の子が「私らはしみしみやから」と言っていると聞きました。「KUMONで計算の能力がしみしみやから。しみしみじゃなかったら今後無理やで」とお姉さんが弟に言っているそうです。身についているという意味で言っているようですね。この子は何があっても教室日には休まずに来る生徒です。

景山:2019年に『KUMON now!』スペシャルインタビューにご登場いただいた日本教育史学者の辻本雅史先生が「くり返しによる『学びの身体化』でその学びは本物になる」とおっしゃっていました。また辻本先生はご著書で、公文式学習についてこう書いておられます。
“公文の学習方式は、江戸時代の手習塾(寺子屋)の学習方法と原理的な点で変わるところがない。もとより個別学習・自己学習の方法が貫かれており、まさに「滲み込み型」の学習にほかならないのだ。”引用:『「学び」の復権―模倣と習熟』(角川書店、1999年。岩波現代文庫、2012年増補再刊)
河野先生の教室の中高生たちが言う「しみしみ」は、この「滲み込み型」のことを表現してくれていますね。「滲み込み型」とは「教え込み型」に対する概念で、心理学者の東洋(あずまひろし)『日本人のしつけと教育:発達の日米比較にもとづいて』(1994年東京大学出版会)より、辻本先生は著書でこう紹介していました。
“環境が整っていてよいモデルがあれば、子どもは「自然に」学ぶという前提に立つ。ここでいう環境は、物の環境も含むけれども、より重要なのは人の環境である。”(東洋『日本人のしつけと教育:発達の日米比較にもとづいて』)引用:前掲書
河野先生の教室で、学年が上の先輩たちが、自ら学習姿勢を示してくれたり、自身の経験を後輩に伝えてくれたりと「よいモデル」になって学び続けています。学年・年齢が異なる子どもたちが一堂に会する環境の中でお互いに刺激し合う様子は、まさに公文式教室ならではの光景だと感じています。
心を育てる公文式
45年の種まきが地域の子どもたちのお役に立てば
景山:KUMONの先生方、子どもたち、保護者の皆さまへのメッセージをお聞かせください。

河野:子どもたちには好奇心や主体性をもった子になってほしいと願っています。子どもたちが自分自身で将来の夢を描いていけるように、一つひとつ自分でものごとを決めていく経験をさせたいといつも思っています。「自分で判断していくんだ」という自覚を促し、そのために必要な学びをKUMONでしっかりやっているんだよと子どもたちに話しています。
社会人になってからも教室に通ってくれる生徒もいます。「学ぶにはいろいろな方法があるかと考えたけれど、河野先生の教室で学ぶのが一番早いと思って」と再入会してくれました。社会人になっても「勉強したい」と思ってくれたことがうれしいですね。こういう生徒が本当に立派だと思います。またそういう学べる場があることがよかったと思ってくれて、教室が大人になっても学べる場になれてよかったと思います。
景山:河野先生は、中高生にはその先の主体的な活躍を見据えて接しておられ、その中高生になるためにはもっと下の学年からKUMONで育てて、と一貫していますね。そして大人になって学びたいと思ったときにも「KUMONで学びたい」と思ってくれるのがうれしいですね。
河野:種をまき、お水をあげないと花は咲いてこないですから、とにかく保護者の皆さまにはお子さまを叱るときも「○○しなさい」ときつく言うのではなく、表情は笑顔で「今日もKUMONしないとね」と言ってあげてください。子どもはきつく言われると気持ちもマイナスな方向に行ってしまいます。
生徒・保護者には「心が育つ」まではKUMONを続けてほしいですね。教室の生徒で、国語教材に出てくる『高瀬舟』※2を読んで「先生、これ僕、答えよう書けへん、どっちもいやや」と泣いた小学4年生がいます。『高瀬舟』の切なさがわかる人に育ってくれています。国語では作品を読んで泣けるような子に育ってほしいですね。
※2『高瀬舟』(森鴎外著)
読解力は国語だけでなく全教科につながる大切な力です。そして自学自習という方法は子どもを確かに賢くします。KUMONは学びの楽しさを運んできます。

指導者の皆さんには「ぜひ、学び合う指導のお仲間をつくってほしい」と伝えたいです。「先生方同士の学びのグループ、自主研(自主研究活動)があったからこそ今日がある」と私は思っています。私は近隣だけでなく、遠い地区でも広域の自主研に10年間参加させていただきました。その他に今も広域のいくつかの自主研で学ばせていただいています。
ふり返ると、KUMONという「面白いものを見つけちゃったな」という思いです。KUMONを通じて指導者のお友だちができるというのはこんなに素敵なことなのかと思いますね。仲間が増えていく楽しさも指導者にならなければ味わえなかったと思います。
45年のKUMONの種まきが少しは子どもたちのお役に立てたでしょうか。学習習慣がついて上手に働きかければ、子どもは学び好きになります。教室には「今KUMONに夢中」と言ってくれる生徒が今日も来てくれます。
関連リンク 辻本雅史教授 中部大学副学長(前編)|KUMON now!学習経験者インタビュー/スペシャルインタビュー 公文式の原点① <個人別・能力別>|KUMON now! トピックス 公文式の原点② <自学自習>|KUMON now! トピックス 公文式の原点③ <可能性の追求>|KUMON now! トピックス 公文式の原点④ <家庭教育>|KUMON now! トピックス 公文式の原点⑤ <学年を越えて進む>|KUMON now! トピックス 公文式の原点⑥ <ちょうどの学習>|KUMON now! トピックス 公文式の原点⑦ <学習習慣>|KUMON now! トピックス 公文式の原点⑧ <低い出発点>|KUMON now! トピックス 公文式の原点⑨ <100点主義>|KUMON now! トピックス 公文式の原点⑩ <標準完成時間>|KUMON now! トピックス 公文式の原点⑪ <高校でできるようにする>|KUMON now! トピックス 公文式の原点⑫ <悪いのは子どもではない>|KUMON now! トピックス
![]() |
前編のインタビューから -「すごく理にかなっている。この会社、絶対大きくなる」 夫が見抜いた一通の封書 |









