障害のある子たちの保護者が切望していた「放課後等デイサービス」
![]() 斉藤すみ子さん |
JR千葉駅の東口方面に出て、デパート・量販店・銀行などが立ち並ぶ中心街を抜けた旧街道沿いにキッズルームチャコ(以下「チャコ」と表記)の本部と事業所があります。1階は夜間保育を含む0歳児からの子どもたちを預かる小規模保育事業の認可園、2階が今回ご紹介する障害のある小中高生を対象とした放課後等デイサービスです。すぐそばの別棟には児童発達支援があり、こちらは2歳くらいから年長までの子どもたちが通ってきます。
平日は午後3時ごろになると子どもたちが集まりはじめ、夕方までが“子どもたちファースト”の時間。チャコでは、まず全員で歩行や集会、リズム運動などをしたあと学習の時間(公文式算数と国語、後述)になります。チャコを運営するトレンディワールド社の斉藤すみ子さん(取締役)に、放課後等デイサービスをスタートさせた経緯をうかがってみました。
「弊社の主な事業は保育とベビーシッター事業で、放課後等デイサービスや児童発達支援を手がける前から、障害の有無にかかわりなく、未就学のお子さんたちをお預かりしてきました。そのなかで学ばせていただいたことは、ふつうのお子さんの子育てでもたいへんなのに、障害があるとその困り度が何倍にもなることでした。さらにたいへんなのは小学校へ入学してからです。生活面、行動面、メンタル面などで課題や問題が一気にふき出してくるような印象があり、お子さん本人もですが、ご家族の疲労困憊ぶりがいたたまれませんでした」
「小学校に上がってからもなんとかサポートできないものかと考えたのですが、制度上の壁もありもどかしい気持ちが続いていました。ところが、2012年に児童福祉法が改正され、放課後等デイサービスという福祉サービスが手がけられるとわかりました。さっそく、うちの保育園に通っていただいたことのあるお母さん方にうかがってみると、“毎日、無為にすごす放課後の時間がもったいない”、“そもそもうちの子には放課後の居場所がない”、“将来の自立のために、学校の教育だけでよいのか心配”といったご意見が。まさに保護者の方たちが切望していた福祉サービスだとわかりました。みなさんの悲願だったのですね」
ちなみに、トレンディワールド社の理念は「ご家族が幸せになるサービスを提供する」「健やかな子育て・子育ちのパートナーである」のふたつ。制度ができてすぐの2012年から放課後等デイサービスをスタートさせたのも、この理念に沿っての実践だったわけです。
※放課後等デイサービス
小学生から高校生の障害のある子や発達に課題や特性のある子を対象に、生活能力の向上や将来の自立支援のための療育を提供する福祉サービス(児童福祉法)。運営母体は社会福祉法人、NPO法人、株式会社をはじめさまざまで、提供される療育内容やプログラムも運動系、学習系、音楽系など多種多様。6歳から18歳までの就学年齢の子どもたちが利用でき、ほとんどの放課後等デイサービス事業所は定員が10人となっている。同じ仕組みで、未就学の障害のある子を対象とした「児童発達支援」という福祉サービスもある。