公文式教育がめざしている大きな目標は「自学自習で高校教材」を学習できる子どもの育成です。
中学生でも小学生でもあるいは幼児であっても、無理なく無駄なく、できるだけ速やかに高校教材に進めるよう指導しています。それには明確な理由があります。
小学生のときはよくできていたのに、中学、高校と進むにつれて授業についていけなくなる子どもがいることを、多くの方がご存知でしょう。その原因のほとんどは、各教科の根幹となる基礎学力(読み、書き、計算の知的技能)の不足です。学力不足から授業についていけずに、楽しいはずの中学・高校生活がつまらなくなったり、中途で学業をあきらめたりして、そのことが原因で自分の望む方向へ進むことができない可能性もあります。
学校での成績が多少ふるわなくても、個性を伸ばし、わが道をたくましく歩いていけばいいではないか、という人もいます。たしかに、スポーツや芸術に打ち込むこともとても素晴らしいことです。しかし、自分の進路について明確に強固な意志を持てるのは、かなり年齢が進んでからのことではないでしょうか。おそらく多くの子どもにとっては、大学受験の学部選択のときでしょう。小、中学生のとき「わたしは●●になりたい!」という夢を持っていて、自分の進路を決める段階でも希望しているのに、学力が不足しているために諦めざるを得なかった、などということがあってほしくはありません。
また、高校生活が受験勉強だけに忙殺される、というのもかわいそうです。友人との交流やクラブ活動、幅広いジャンルの読書や海外旅行、ボランティア活動など、かけがえのない高校時代に体験してほしいことはいっぱいあります。余裕のある高校生活を送るために、家庭教育においては小学生、あるいは幼児のうちから、すべての勉強の基盤となる基礎的な内容に絞って、高校入学までに効率よく学習を進めておく必要があります。
ですから公文式教材は、算数・数学、国語、英語とも、高校で学習する内容が効率よく学習できることをめざして構成されています。その目標に直結しない内容は削り取られており、学校で教わる何もかもを盛り込んではいません。算数・数学は、高校数学を学習するうえで必ず必要となる高いレベルの「計算力」、国語、英語は、高校以上の学習で求められる「読解力」に絞り込んで、効率よく進んでいけるようになっています。
そこで培われた「英語を含めた読み、書きの力、計算力」は、高校時代のみにとどまらず、その後に続く人生そのものを切り拓く、それこそ“一生もの”の生きていく力であるともいえるでしょう。
*このコラムは、1999年の広報誌『文』に掲載した記事の引用です。
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