自分の進む道を決めた一冊の本との出会い
世界の広さを教えてくれた大学生活
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スイス公文学園高等部(以下、KLAS)に進学すると決めた時から、日本の大学に進学する意識はありませんでした。ですから、高校2年生からは迷わず海外の大学に進学するプログラムを選択しました。当時はスタンフォード大学を志望していたので、高校在学中にはスタンフォードのサマースクールにも参加しました。サマースクールにもさまざまな種類がありますが、私が参加したプログラムは大学の単位が取得できるもので、世界中からさまざまなバックグラウンドを持つ高校生が集まっていました。改めて世界の広さを感じると同時に、彼らとの意見交換や会話を通して、それまでの高校生活にはなかったさらなる刺激を受けました。
そこで受講した授業を通して『The Population Bomb』という一冊の本に出会いました。「このままいくと人口が増えすぎて食べ物がなくなる」という内容を含んでいたのですが、高校生の自分にとってそれは衝撃的でした。世界規模で物事を俯瞰して考えるという経験が当時の私には乏しかったこともあるかもしれません。それまで私は国際弁護士に憧れて目指していましたが、この本が食糧問題や関連する国家安全保障問題に関わりたいという目標を持つきっかけになりました。その切り替えは結構早かったですね。
いい意味で若かったのだと思います。「飢餓を無くしたい」という漠然とした目標に、全身でぶつかることができました。しかし、大学受験で志望校への入学は叶わず、私にとって初めての大きな挫折であり、良い意味で自分と向き合い、1 から出直す良い機会となりました。カナダのクイーンズ大学に進学することに対し、入学前は不本意な思いもあったのですが、クイーンズ大学では素晴らしい能力や個性を持つ多様な同世代の人たちに囲まれて、自分の了見の狭さを思い知りました。今では、この挫折もある種の「導き」であり、気持ちも目標も新たに新天地で再出発をしたことが現在の私に繋がっているとさえ思っています。
こうした私自身の経験からも、若い方々には積極的に海外にも飛び出して欲しいですね。一般的には、小学校から中学校、高校、そして大学と少しずつ触れる世界が広がっていきます。それに伴って、出会う人や活動範囲も自宅のある小学校区内から町、県、全国へと広がっていくでしょう。その中でさまざまな新しい価値観や刺激を受けることと思います。国外というさらに大きな枠組みに身を置くことで享受する経験は、グローバル化が進む今後を生きる若い方々にとっては大きな糧になることと思います。