手当たりしだいに本を読んでいた小中高時代

私たちが住んでいるこの空間は、いわゆる三次元空間と呼ばれています。そしてSFなどにも登場する四次元空間。それをさらに次元を上げて“無限次元”にしたような空間も理論的には考えることは可能で、私はそういう空間の構造を研究しています。
抽象的な理論として研究してはいますが、最先端の理論物理学とはそれなりに深い関係があります。たとえば「宇宙がどのようにして誕生したか」「なぜ物質は存在するか」「時間はなぜこのように流れているのか」など、そういうことを突き詰めて考えていくと、最高レベルの数学が必要になってくるのです。
小さいころは……そうですね、勉強は好きでしたね。親から勉強しなさいと言われたこともなかったなぁ(笑)。算数はとても好きでした。小学校にあがる前に四則計算、小6のころには微分積分もできたと記憶しています。それには理由があって、母親が数学が得意だったのです。大学時代に化学を専攻していて、特に計算はものすごく速くて正確。公文の教室の先生をしていたので、私は小6から中1にかけて公文を学習していました。当時は微分積分の教材はまだ手書きでしたね。今から40年ほど前のことです。
本を読むのも好きでした。チョイスするのは主に理科系のものでしたが、特に数学の本は、理解できてもできなくても手当たりしだいに読みました。推理小説もよく読みましたね。新聞も小さいころから習慣的に読んでいました。今でも手あたりしだいに読むクセは抜けません。名著と呼ばれているものをじっくり読むというよりは、なんでもいいから片っ端から読む。読むのも速い。パッと見てみてつまらなそうだと思うと、すぐ読むのをやめてしまうこともしばしばです。胃薬の箱の後ろに書いてある効能書きまで読みこんじゃいますから、たぶん活字中毒だと思います。本ばかり読んで家に閉じこもる私を心配したのか、親からは「スポーツをしなさい」とよく言われていました。