2020年までに日本からの留学生を倍増させる産学官協働のかつてないプロジェクト

私はいま、文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」(以下、トビタテ!)で、プロジェクトディレクターをしています。トビタテ!というのは、文部科学省が意欲ある全ての日本の若者に、自ら海外留学の一歩を踏み出す気運を醸成することを目的とする留学促進キャンペーンです。東京五輪が開催される2020年までに、海外留学する学生を倍増する目標(大学生6万人→12万人、高校生3万人→6万人)を掲げて、2013年にスタートしました。
2014年からトビタテ!の主な取組の一つとして、産学官が協働して、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」(以下、本プログラム)がスタートしました。これは留学にかかる授業料や現地活動費などを、返済不要の奨学金でサポートする留学支援制度です。
200億円の民間支援を目指す本プログラムは、企業に、学生の面接やメンタリング(相談役)、インターンシップなどでも協働してもらっていることが特徴です。これまでの国の留学支援は、経済的に苦しい学生や好成績の学生が対象で、単位取得などの実績を求められていました。本プログラムは、留学目的がボランティアやインターンシップなども認めて、成績に限らず人物と留学計画の内容を重視して学生を選定しています。
グローバル人材を求める民間企業からは、賛同・協賛の声が予想以上に大きく、幅広い業界から計148社(2015年6月25日現在)が参加し、お約束いただいている寄付の総額は約103億円にのぼります。また、トビタテ!の組織運営においては、たとえば立ち上げ時にコンサルティング会社の社員に、半年間週末だけ参画してもらうなど、できるだけ多くの方が関わりやすいよう、政府としては前例のない運用をしています。民間企業の声を多く取り入れた留学支援制度といえるでしょう。また2015年7月から募集開始する第4期からは「海外初チャレンジ応援枠」や「家計基準の一部撤廃」を行い、応募がしやすくなりました。
本プログラムに参加した学生の著しい成長も感じています。先日、本プログラムでフィリピンのソーシャルベンチャーにインターンをしている大学4年生2人に会いました。彼らは「大学3年間以上に留学中に学ぶことが多かった」と語ってくれました。自分にしか語れない経験が、大学3年間よりも留学の数ヵ月でできた、という意味だと思います。留学から帰ってきた学生の報告会では、学んだエピソードに事欠くことはなく、たくましく成長した姿が多く見受けられます。