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Vol.461 2022.11.15

KUMONの取り組むSDGsを考える④前編

教育はSDGsの基盤
一人ひとりに向き合いながら
「ソーシャルグッド」を目指して

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標が「SDGs(=Sustainable Development Goals)」。こちらの企画では、各界のオピニオンリーダーや実践者の方々をお招きして、公文教育研究会のSDGs委員会・アンバサダーメンバーの社員との対話を通じ、教育で社会の課題解決へのグローバルな貢献を目指すKUMONの取り組みへの理解を深めていきます。
今回お話をお伺いするのは、トイレのバリアフリーに関する研究をした経験をもとに、トイレにおけるジェンダー課題を解決するためのチーム「Plunger(プランジャー)」で活動する原田怜歩さん。公文国際学園の卒業生で現在は東京大学の学生である原田さんに、プロジェクトの成り立ちやSDGsへの取り組み、またKUMONに期待することなどを伺い、社員とともに話し合いました。

目次

原田 怜歩(はらだ らむ)

東京都出身。公文式学習経験者。公文国際学園高等部在学時に「トビタテ!留学JAPAN」代表留学生として渡米。コロナ禍により10ヵ月間のアメリカ留学となったが、アメリカにおけるジェンダーフリートイレの普及状況調査を行った。トイレにおけるジェンダー課題を解決するためのチーム「Plunger」を立ち上げ「SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー」を製作、「日本トイレ大賞2021」を受賞。現在は東京大学に在学中。

公文教育研究会 会談参加メンバー(敬称略)
埼玉リージョナル推進チーム 柳原
甲府事務局 土屋
人事部採用育成チーム 澤崎

トイレットペーパーは
新たな自学自習の媒体になり得る

―― まずは原田さんの活動について教えていただけますか?

原田さん:
公文国際学園の卒業生で現在は東京大学で学生をしている原田怜歩です。
トイレの研究のきっかけは、幼少期の親友からのカミングアウトでした。当時、学校など教育の場でLGBT理解が重要視され始め、聞き馴染みはあったものの、具体的に何に困っているのか、自分にどのようなサポートが出来るのか、そこまで考える機会はありませんでした。

私にどんなサポートができるかを親友に尋ねた時、日々トイレの時間がつらい、との話を受けました。自分にとって日常的なものが親友にとっては苦痛であるということは大きな気づきでした。その後、高校在学中にアメリカに留学したのですが、すべての性自認の人が利用できるジェンダーフリートイレがごく当たり前に存在していることに大きく衝撃を受けました。

原田 怜歩さん

当初1年の留学予定が、残念ながらコロナ禍で途中帰国が決まり、打ち切りとなりました。帰国後、消化不良な思いを抱えていました。「今頃アメリカでこんな研究ができたはずなのに……」と空虚な気分でいたところ、学校の先生から「アメリカでやりたいことがあったんじゃないの? 何か日本でもできることがあるんじゃない?」と促されたんです。

どんな困難もチャンスとして前に進みたいし、せっかく日本代表として「トビタテ!留学JAPAN」に参加していたのだから、今度は日本に還元したいと思い、現在活動している団体「Plunger」を立ち上げました。この団体の活動で、「SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー」を製作し、日本全国の学校・飲食店・公共施設などに展開しました。

ジェンダーという課題はどうしても関心のある人とそうでない人に分かれてしまう分野でもあります。そのため、まずは包括する社会課題全般について、そしてSDGsについて関心をもってもらおうというのが狙いです。トイレは一日に何度も使う場所です。トイレットペーパーは必ず手に取り目にするものですよね。

教育は反復性が重要だということはご存じのとおりかと思いますが、自分から学ぶという自学自習を考えたときに、トイレットペーパーは日常のなかの新しい教育媒体になり得るなと感じました。おかげさまで2021年の日本トイレ大賞にも選出されました。

大学では経済学のほか、ジェンダーや医療・福祉関連についても学んでいます。また、応援部に所属してチアリーディングをやっています。「Plunger」の活動も応援部の活動でも、誰かを応援することが大きなやりがいになっています。

1歳から始めたKUMONと自分の原点

1歳から始めたKUMON
達成感と振り返り作業は自分の原点

―― 少しさかのぼりまして、公文式学習との出会いについて教えていただけますか?

原田:公文式学習を始めたのは1歳の時です。兄がすでに通っていたので、それなら私も一緒に、と母が連れていってくれました。まずは鉛筆を持って椅子に座ることから、1対1で指導してもらうような形でスタートして、小学6年生まで教室に通いました。そして中学は公文国際学園に進学するほどKUMONライフを謳歌してきました。

原田 怜歩さん

プリント1枚終わるごとに達成感がありました。線を引くだけでも先生が褒めてくれたり、満点だと大きく100点を書いてくれたり、小さいころから褒めてもらうことが当たり前で私の原点でもあります。

とはいえ、何度もスランプやつらい時期がありました。算数で分数が出てきた時、全然先へ進めなくて悔しかったですし、何度くり返してもどこかでつまずいて公文の先生に泣きついたら「毎日やっていても人間は忘れてしまうもの。進むだけでなく、たまには過去に学習したプリントの内容を振り返りましょう。そして忘れてしまったところやなぜ分からなくなったのかを見つけて、分かるようにしましょう」ってアドバイスをくださったんです。

これは公文式学習のみならず、すべてのことに役立っています。中学時代に所属していた陸上部も個人競技のため、自ら高みを目指していく必要がありましたが、ただやみくもに走るのではなく、「どういうことを目標にしていたのだろう?」と振り返る作業が必要でしたし、公文式で培った挑戦心や集中力も活かされましたね。

公文国際学園の生徒は塾に行かない割合が結構高いのですが、私自身もそうでした。塾で人に教えてもらう受け身の姿勢がちょっと私には合わなかったんです。自分で分からないところは復習して、分かるところはどんどん進んでいく公文式のスタイルが、小学生のうちから確立されていたことが今につながっているように思います。

原田 怜歩さん

甲府事務局 土屋:原田さんはKUMONの教室でも限られた時間で目標を定めて学習に取り組まれていたのですね。その思考に至るまでには訓練が必要だったと思うのですが、何か具体的なエピソードはありますか?

原田:習い事に関しては興味関心の芽を摘まない、という家族の方針の下で、やってみたい!と感じた様々な分野に挑戦してきました。自分がやりたいと言って始めた分、責任をもって最後までやろうと決めていました。そこで目標達成までの時間も自分で管理しようと思ったんです。

たとえばKUMONで最終教材(O教材)をゴールとしたときに、L教材からO教材を目指すのとE教材から目指すのでは道のりがとてつもなく違いますよね。モチベーションを上げるためにはひとつの教材を終了するスパンをなるべく短く設定したほうが良いと気づきました。限られた時間内で進めるために、誰かから言われるのではなく自ら設定できることがKUMONの良いところだと感じています。

人事部採用育成チーム 澤崎:コロナ禍でいろいろな活動が難しかったときに次の行動に移されたのが素晴らしいですよね。ひとりのお友だちの問題から社会課題に至るまで、あらゆる活動の原動力やモチベーションはどこから来ているのですか?

原田:このトイレットペーパーはクラウドファンディングで支援してくださった方があちこちに寄付してくださるものなので、どなたに届いたかを確かめることはできないのですが、先日寄贈先である保育園の方からメッセージをいただきまして、「こういうことができたらいいな」という想いに反響を得られたことで、よいサイクルにつながっているなと実感しています。

クラウドファンディングというシステムは、ただ出資を受けるというよりは、モノに込められた想いやバックグラウンドを通して応援してもらう応援団のような存在ですよね。自分のやっていることが他の人にもプラスになるんだと思えることも原動力として大きいですね。

日本と海外の先進的なトイレを伝えたい

日本と海外のそれぞれ先進的な
トイレを互いに伝えたい

―― 高校生の時に「トビタテ!留学JAPAN」でアメリカ留学をされましたが、そこで得た経験や印象深い出来事はありましたか?

原田:中学生の時に語学研修で2週間アメリカに行ったのですが、実はその時にトイレが原因でホームシックになってしまったんです。アメリカのトイレっておもてなしの心が薄いというかすごく無機質に感じられて、ついにホストファーザーに「ウォシュレットのような日本のトイレをアメリカに伝えるべきだ」と伝えたんです。すると、「アメリカにも先進的なトイレがあるんだよ」と教えてくれました。これが活動のきっかけにもなったジェンダーフリートイレだったんです。

この時の経験から、技術面で先進的な日本のトイレを海外に伝えると同時に、海外の先進的なトイレも日本に伝えたいなという想いにつながりました。

トビタテでの留学中は、現地の学校で生徒会長を務めたり、州の数学オリンピックに出場したりと学業の他でも充実した密度の濃い経験をさせてもらいました。

原田 怜歩さん

埼玉リージョナル推進チーム 柳原:社会に対しての意識を個人個人が高める、社会への想いを持つという点で、アメリカで感じられたことはありますか?

原田:アメリカでは自分の意見を相手にくみ取ってもらうより、どんどん自分から主張する人が多く、このことに突き動かされましたね。個々の分野や関心は違っても、積極的にいろいろなことに関わろうとする姿勢にはとても影響を受けました。

でも、やはり私が、コミュニケーションって大事だなと感じるのは、KUMONで小さいときからいろんな大人やお兄さん、お姉さんと出会い、愛されたことが根本にあります。その分、年下の人たちのお手伝いをしたいなとか頼り頼られという関係が、小学校に上がってからもずっと続いていきました。

原田 怜歩さん

母も公文の理念に共感していましたし、学業だけじゃなく、興味あることを学んでいってほしいと思ってくれていました。どこの分野で花が咲くか分からないけどたくさん芽を出し、いずれどれかが花になればいいなって思ってくれていることが私にも伝わっていました。

後編を読む

関連リンク All Gender Toilet Project Plunger. Plunger | 100BANCH 公文国際学園 トビタテ!留学JAPAN


原田 怜歩さん  

後編のインタビューから

-対立することなく誰もが対等に話し合える環境を
-一人ひとりの学びの芽を摘まないように
-選択肢をできるだけ広げることを大切に

後編を読む

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