表情が変わったときに気づいて
声をかけてあげよう
近年気になるのは、子どもたちの「感情を味わう」「感情を表現する」体験が少なくなっていることです。SNSですぐ反応し合うため、感情が自分の体と心に落ちていく時間がなさ過ぎるのではないでしょうか。例えば「カチンときた」場合、「カチンときた」以外の、違う心の動きもあるはずですが、それを味わうことが難しくなってきているように思います。人は、感じて、考えて、行動していくものです。知的にはレベルが上がっているのかもしれませんが、身近な関わりに対する情緒的な感覚が伴っていないと、成長していく上では心配です。
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子どもを育てることは、小中学生までは、植物を育てることに似ていると思います。種を植えたら終わりではなく、苗も見てあげる。若木になっても、ちょっとしたことで倒れてしまうこともあるので、見守ってあげる。そして、子どもの表情が変わったときが、心にも変化があるときなので、そこで気づいて声をかけてあげる。それをするかしないかで、その後が大きく違ってきます。
この頃は、受け身の「学び」で、「今まで知らなかったことが見えてくる体験」をする時期です。その体験が本人の力になります。高校生以上になれば、新しい体験を恐れずに、自ら歩みを進めることが「学び」となります。そしてこの年頃になれば、親ライオンが子を谷に落とすような覚悟が必要です。子離れには勇気がいりますが、それが子の成長につながります。
子どもたちに伝えたいことは――ある程度の「木」がしっかり育っている子の場合は、大志を抱いて本人の好きに進んで欲しいと思います。そうでない子には、「自分が思っている以上の力を、自分は持っている」ことを知って欲しいですね。そして、どんなことでもよいから、自分が一生懸命になれるものを見つけてください。そうすれば、そこから学びが広がっていき、自信もつきます。もともと備わっているものが、開かれていくということです。
スクールカウンセラーをしていて、つくづく感じるのは、子どもは「ぬくもり」を求めているということ。今の時代、大人は忙しすぎますが、保護者のちょっとした声かけ、目を合わせること、にっこり笑いかけることだけでも、子どもにとっては喜びとなります。ぜひ、実践してみてください。