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Vol.084 2021.12.03

劇団四季 俳優
金子進太郎さん

<前編>

奇跡は起きるものではない 起こすもの
作品の感動
多くの人に届けたい

劇団四季 俳優

金子 進太郎 (かねこ しんたろう)

神奈川県生まれ。2007年、公文国際学園中等部入学。演劇部に所属。高等部1年のときに観た劇団四季のミュージカル『美女と野獣』をきっかけに舞台に魅了され、早稲田大学基幹理工学部に進学後もミュージカルサークルで活躍。卒業後の2017年に劇団四季の研究所に入所し、翌年『リトルマーメイド』で初舞台。現在ロングラン上演中の『ライオンキング』にも出演。

劇団四季に所属する俳優として、ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』『ライオンキング』に出演している金子進太郎さん。幼い頃からタレントの物まねをするなど“演じる”ことが好きだったそうです。自由な校風に惹かれて進学した公文国際学園では演劇部の部長を務めましたが、当初は演劇そのものにはあまり興味がなかったといいます。そんな金子さんが大学卒業後の進路として、劇団四季への入団を目指したのは、高校生の頃に観た劇団四季のミュージカル『美女と野獣』がきっかけでした。演劇や劇団四季の魅力とともに、常に自己鍛錬が欠かせない俳優という職業において、「役に立っている」と振り返る公文式学習からの学びについてうかがいました。

目次

    演劇初心者にこそ観てほしい『ライオンキング』

    金子 進太郎さん
    劇団四季ミュージカル『ライオンキング』の一場面
    撮影:上原タカシ©Disney

    私は劇団四季の俳優として舞台に立っています。現在は、ロングラン上演中のミュージカル『ライオンキング』に出演しています。私もそうでしたが、演劇は観たことがない人にとっては敷居が高いと感じるかもしれません。『ライオンキング』はそういう方にこそ、最初の1本として観ていただきたい作品です。その理由は、命をテーマにした家族の物語だからです。アフリカのサバンナを舞台に、主人公シンバの成長が描かれています。小さいお子さんから年配の方まで、共感できる部分がきっとあると思います。

    もうひとつの見所は、登場する「動物」たち。もちろん、その動物たちは私たち俳優が演じているのですが、人間である私たちがどう演じているのか、それもおもしろく感じていただけるはずです。『ライオンキング』で私が演じている役柄のひとつが、サイの後ろ足。前足の人と二人でひとつの動物を演じているので、二人の息をぴったり合わせる必要があります。いかにイキイキと動き、サイらしく見えるか。ぜひ注目していただければと思います。

    演劇では、メインキャスト以外のこうした役回りを、「アンサンブル」といいます。アンサンブルは「ひとつの演目でシーンによって様々な役柄を演じる人たち」のこと。その舞台の世界観を作り上げる大切な役回りです。皆さんが観ている映画でもテレビドラマでも、主役のまわりにいろんな人たちが登場しますよね。そうした人たちがいるから、そのシーンがより色濃くなるのと同じように、アンサンブルの演技があるからこそ、メインキャストたちやそのシーンが際立つのです。

    劇団四季ではロングランで上演している演目が多く、また複数の作品を全国各地で上演しています。そのため、ひとつの舞台が終わったら次へ…ということではなく、短い期間で複数の演目に亘って出演することもあります。つまり、ある役を演じたらそれで終わりではなく、その先ずっと役が積み重なるイメージです。一度出演した舞台には、いつでも出演できるよう常に準備をしておく必要があります。

    ひとつの役に対して複数の俳優がキャスティングされているのも劇団四季の特徴です。ロングラン公演が多いため、ひとつの役を複数の俳優が交代しながら公演を行っています。自分の出演がないときは、動物園に行っていろんな動物を観察したり、コロナ禍以降は動画を見たりして動物の動きを研究しています。また作品とはまったく関係のない音楽を聞いたり映画を観たりして、「ここは自分の演技にこう取り入れられるかも」など考えています。日々の生活すべてが勉強です。

    劇団四季に入団、そして初舞台へ!

    初舞台は『リトルマーメイド』
    緊張と感動、そして責任を実感

    金子 進太郎さん

    劇団四季の俳優になるには、オーディションを受ける必要があります。オーディションには即戦力のものと、「研究生」になるためのものがあります。私は大学4年の夏に、オーディションを受けて研究生として合格しました。研究生は1年間、バレエやジャズダンス、タップダンスなどダンスレッスンのほか、呼吸法やセリフ、歌の稽古など、劇団四季のメソッドにのっとったレッスンを受講します。私は他の研究生に比べて経験が少なかったので、最初はついていくのが大変でした。

    私が研究生のときは、4月にレッスンがスタートし、翌3月に卒業試験がありました。この試験に合格すれば晴れて劇団四季の劇団員になれます。正式に劇団員になってからは、日々のレッスンを受けるとともに、それぞれの作品のオーディションを受けます。オーディションに合格すれば、その作品の稽古に入れるのです。

    私が最初に携わった作品はディズニーミュージカル『リトルマーメイド』で、劇団員になった年の11月に初舞台を踏みました。高校生の時からあこがれていた劇団四季の舞台でしたので、死に物狂いで稽古し、いよいよ初舞台の幕が開くという瞬間は、非常に緊張したことを覚えています。同時に感動も大きく、この舞台を観て「自分も舞台に立ちたい」と夢見る子がいるかもしれないと思うと、責任の重さも感じました。

    舞台出演がないときは、劇団でバレエや開口発声のレッスンを受けるほか、自主稽古をしています。自分のコンディション維持やスキルアップのために、意思をしっかり持って日々行動することが求められます。

    公文式学習から得たものとは?

    公文国際学園で「公文式」を学び
    「自分で課題設定をして進めていく」土台ができた

    金子 進太郎さん
    金子さんの座右の銘は
    「奇跡は起きるものではない 起こすもの」

    両親によると、私は小さい頃から人前で物まねや、映画のワンシーンを演じたりするのが好きだったそうです。3歳下の弟とは毎日「ごっこ遊び」をしていました。細かく役柄を決めて、お風呂の中でもやっていました。

    影響されやすいタイプで、消防士が活躍するドラマを見れば「消防士になりたい」、そのほか、弁護士、総理大臣……と、将来の夢もコロコロ変わっていました。そんな私の関心事を両親は都度受け止め、消防士に夢中になっていたら「消防署の訓練を見に行こう」などと連れ出して、興味の幅を広げてくれました。両親ともに干渉するタイプではなく、のびのびと育ててくれて本当に感謝しています。

    中学受験をしたのは、「自分の世界が広がるかも」と期待があったからです。母といろいろな中学校を見学した中で、校門に入った所にある公文公さんの銅像を見て、「ここに入りたい!」と一目惚れしたのが公文国際学園でした。自由な雰囲気で個性を尊重している校風を感じました。

    受験当日、母は「奇跡は起きるものではない 起こすもの」とのことばで私を送り出してくれ、無事合格。何かにチャレンジするとき、今でも母のこのことばを心の中で繰り返しています。公文国際学園は、先生方も生徒たちのやりたいことにNOとは言わない風土がありました。校則もなく髪型も服装も自由。外見で人を判断せずに、一人ひとりの生徒の個性を尊重し、その子のやりたいことを手助けしてくれる学校でした。

    公文国際学園では、公文式学習の時間があります。私は中学から公文式を始めましたが、公文式は今の自分にすごく役立っていると感じます。まず、「自分で課題設定をして自分で進めていく」という点です。先にお伝えしたように、俳優には自己鍛錬が非常に重要です。「自分で課題を設定し、それをクリアしていく」ことをルーティン化し、それを「学びの姿勢」として自分に定着させる土台ができたのは、公文式のおかげだと思います。

    また、公文式は人によって進度が違いますよね。学年より先の教材に達している人もいれば、そうでない人もいます。でも、他人の進み具合は関係ない。「自分は今こうだから、ここまでやろう」と、自分を主軸に考えられるようになりました。自分をしっかり持つことができ、すごくよかったと思います。

    後編を読む

    関連リンク 【公演紹介】
    ディズニーミュージカル『ライオンキング』

    会場名:有明四季劇場  ロングラン上演中
        名古屋四季劇場 上演中~2022年5月15日(日)千秋楽

    公文国際学園
    ライオンキング

    金子 進太郎さん   

    後編のインタビューから

    -入部した演劇部を改革へ!
    -「演劇か就職か」金子さんの決めた進路
    -「自分がやりたいこと」を見つけよう!

    後編を読む

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