対局だけでなく将棋の魅力を発信中
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私の棋士としての活動は、平均して週1回の対局がメインとなります。対局が始まるのは10時からで、1回の対局は、早い場合は1時間程度、長ければ日付が変わるまでかかることもあります。対局自体は平均して週1回ですが、意見交換や練習試合などをして研鑽を積む「研究会」(決まったメンバーで2人~6人くらいの規模で開催)に、私は月に3回参加しています。
そのほか、将棋の普及活動として、将棋の解説本や雑誌記事を書いたりしています。現在、『将棋世界』という専門誌で、「コンピュータソフト『やねうら王』と行く藤井将棋観戦ツアー」というタイトルで連載をしています。藤井聡太二冠の強さを人工知能で解析するのですが、取り立ててAIを強調するのではなく、棋士の視点でより将棋のおもしろさを伝えるようにしています。1局の勝負について、10ページの解説を書かなくてはならないので、楽しいですがなかなか大変です。
大学院ではAIの中でも自動運転の分野を専門に研究しています。たとえば倉庫や工場のフォークリフト操作を、コンピュータを使って支援するプロジェクトを推進中です。フォークリフトの操作は初心者には難しく、事故を起こしやすいので、それを低減するためフォークリフトに様々なセンサーを載せ、得られたデータを解析したり、AIを使った操作を試したりしています。企業と共同研究もしているので、現場に行くこともあります。
また、自動運転技術を開発しているティアフォーというベンチャー企業のエンジニアも務めています。一般の道路を走る自動運転の車について、データを解析するという仕事です。これは自分のペースで、リモートで取り組んでいます。
複数のことを、どうやりくりしているのか聞かれることもありますが、私はもともと飽きっぽくて、ひとつのことに集中することができないタイプ。現在のメインの活動は将棋ですが、社会にインパクトを与えられるという点で、研究にもやりがいを感じています。例えれば「日替わり」で集中している感じでしょうか。どれも楽しいから続けていられるのだと思います。