OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2016/07/29更新

Vol.035

経済学者 澤田康幸先生  前編

学び本質とは
新しい発見」に行きつくこと
努力を怠らずにやり抜こう

澤田 康幸 (さわだ やすゆき)

兵庫県生まれ。1990年慶應義塾大学経済学部卒業。大阪大学大学院などを経て渡米し、1999年にスタンフォード大学大学院経済学部博士課程を修了(Ph.D. 取得)。同年東京大学大学院総合文化研究科助教授に就任。現在は東京大学大学院経済学研究科教授。専門は開発経済学、応用ミクロ計量経済学、フィールド実験。著書に『自殺のない社会へ』(有斐閣、20013年、共著)、『巨大災害・リスクと経済』(日本経済新聞出版社、2014年、編著)など。

開発経済学を専門とし、とくに開発途上国における教育開発や貧困問題の研究で知られる澤田康幸先生。フィールド実験という手法により、バングラデシュの農村で子どもたちの学力向上のための効果測定や、東日本大震災のなどの被災地やフィリピンなど発展途上国の貧困地域で調査を行い、現地に住む人々のより良い暮らしにつながる研究を続けています。経済学は「人間活動に関する総合的な学問」という澤田先生に、経済学の重要性とともに、開発経済に関心をもったきっかけや研究のおもしろさなどについてうかがいました。

公文式は「非認知能力」も高める学習法

澤田康幸先生

私は兵庫県西宮市に4人きょうだいの末っ子として生まれました。絵が得意で、幼稚園を卒園する時は、代表として答辞を述べるような子でした。

父は陸士(陸軍士官学校)在学中に終戦を迎え、その後一念発起して内科医になりました。1950年代に渡米し、ボストンの病院でレジデントとして勤務するなど稀な経験も持っていました。時代に翻弄された経験があったためか、私に対しては「世の中のためになることをやりなさい」と言い続ける一方、自身の仕事について「病気の患者さんからお金をとるのは心苦しい」とよく話していたことを覚えています。

母は女学校を卒業後、会社勤務という当時は珍しいOL経験を経てずっと働いていました。性格はなにか超越した感じで、誰にでも親切、何があっても落ち着いて構えていて、私が「来るものを拒まず」という性格なのは、母の影響かもしれません。

公文に通っていたのは、小3から小4の頃。今は優れた医師となっている兄と一緒に通い、毎回自分が先に終わって兄が出てくるのを教室の入口で待っていたことを覚えています。そのため、私自身の公文の思い出としては、いつも待たされていたという印象が強いです(笑)。

しかし、現在、バングラデシュで公文式学習の導入の研究に関わってわかったことは、公文式は単に計算力をつけるだけでなく、やる気や忍耐力、自分の学力を客観視して「こうすればできるんだ」ということを理解する力をつけてくれるということです。これは、経済学でも最近注目されている「非認知能力」も高める学習法ということです。

また、学習のシステムも優れていると思います。私は自己規律がゆるくて、じつは夏休みの宿題をやるのは必ず9月1日の始業式の夜、という子でした。これは、行動経済学でいう「先送り行動型」。ところが公文式は「教室が週2回あり、その日の教材は最後までやる」また「教室以外の日も家で毎日やる」ので、先送りできません。先送り思考型の子にとっては、やりきる習慣がつく非常に良いやり方なのだと改めて思います。

研究者としての礎となった大阪大学大学院での学びとは?

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