KUMONトピックス
Feature Report - 進化し続ける活動
カテゴリーを表示

KUMONグループの活動  2019/12/24更新

Vol.337 特別対談 ブレイディみかこさん×KUMON  

2019年話題のノンフィクション本と
KUMONに共通する思い
「自分の力で人生を切り拓いていける人に」

世界の縮図のような英国の日常を、プレ思春期の息子との対話を通して綴ったエッセイ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)が、Yahoo!ニュース|本屋大賞、ノンフィクション本大賞を受賞するなど、話題の一冊となっています。今回、著者のブレイディみかこさんと、公文教育研究会ブランドコミュニケーション本部の山本との対談が実現。著書を通じて綴られた子どもへのまなざしや思いの随所に、公文の考え方にも通じるところがありました。

英国の元・底辺中学校に入学したわが子を綴ったエッセイ

ノンフィクション本大賞
授賞式(撮影 新潮社)

ブレイディみかこさん(以下、ブレイディ):保育士として託児所で働いていたときのことを書いた『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)が、新潮ドキュメント賞をいただいたんですね。
その後、新潮社の編集者から「ブレイディさんの“現場”について書いていただけないか」とリクエストをもらい思いついたのが、ちょうどおもしろい中学校に入学した、わが子のことでした。
もともとは雑誌の連載ですが、日々の学校生活で息子の身の回りで起きたことで、私が面白いと思ったこと、さらに日本の方も読んだら面白いと思われること、そこに共通する何かを選んで書いてきました。
思春期の子を持つ親の育児エッセイとしても読めるし、海外生活エッセイとしても読んでいただけるよう、間口の広い書き方をしています。

公文教育研究会 山本(以下、山本):ブレイディさんのご著書を読ませていただき、息子さんが自分の力で人生を切り拓いていく姿が強く印象に残りました。

ブレイディ:英国では子どもの貧困が3人に1人の時代に突入していると言われています。ですから自学自習できる力を身につける、ということはすごく大事になってくると思います。
それと、イギリスでは『子どもは社会が育てるもの』とよく言われています。親一人が子どもを育てるわけではなく、いろんな人と触れ合うことが望ましい。公文の教室は、家庭とは違うコミュニティを提供しているわけですから、そこも子どもを育てている場所の一部なのでしょうね。家庭だけでなく、社会にはいろんなコミュニティがあって、そこでさまざまな人とのかかわりの中で勉強していくというのも大事だと思います。

子どもと対話することで大人もアップデートされていく

山本:ブレイディさんは、息子さんととてもよく対話をされていますね。

ブレイディ:英国の保育ではいつも『子どもの声を聴こう、自分の考えだけを押しつけてはいけない』と言うんですね。たとえば、毎学期ごとにレポートを作るとき、保育士が一方的に考えたことだけでなく、子どもからのコメントも書かなくてはいけないんです。『保育園に毎日きていて楽しい?』とか、『なんの遊びをしてるのが一番いい?』とか、『最近できるようになって嬉しくなったことある?』とか、その声を書くんです。
私も保育士としてそれを学んできたから、自分の息子にも、「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」って意見を聞いて対話するようにしています。そういうプロセスをくり返すことで、子どもが自分で考える力をつけていくようになっていると思います。
大人はできあがりなんかじゃなくて、できあがりで老いていくだけでもなく、子どもと一緒に対話することによって、アップデートされていくと思います。知識もそうだし、人間性も考え方もそうです。大人も子どもに教えられて変わっていく、というのはすごく大事なことだと思います。子どもの多様な考え方や柔軟な考え方から学んでいくことで社会全体も変わるはずですから。

山本:そのとおりですね。私たち公文は、目の前の子どもたち一人ひとりの可能性を信じ、その能力を最大限に伸ばすために、その子にとっての「ちょうど」を見つける個人別指導を心がけています。そのためにも子どもから学ぶことを大切にしています。

――英国で生活されているブレイディさんからみて、日本の教育で気になる話題はありますか?

ブレイディ:先日、新井紀子さんとリーディングスキルについて対談したのですけど、『読めない子ども』が増えているそうなんですね。数学的な読み方ができない。つまり、短文だけど、何が書かれているのかを正確に理解する力がすごく落ちているらしいんです。
英国の中学の国語教育では、"LANGUAGE ENGLISH"と"LITERATURE ENGLISH"にカリキュラムが分かれています。きちんと言語を使えるように学習するのと、シェークスピアなどの文学を読みましょう、というのは分かれています。

ノンフィクション本大賞 授賞作
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

日本では、文学的な素養を作る方が大事だという人もいますが、私は理論的な読み方と両輪だと思うんです。ツイッターなどのSNSを見ていると『そんなこと書いてないよね?』『どうしたらその読み方になるのかな?』ということで批判されていることが多くて……。読解力はお互いの理解のために欠かせないことだと思います。読んで理解できないと、自分の考えを言葉にして伝えられませんから。

子どもを信じて、子どもの未来を作りすぎないことが求められる時代
「レールを引きすぎないこと、引こうとしないこと」

――ブレイディさんから、日本で子育て中の方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。

ブレイディ:子どもがこれからどう生きていくかって親はすごく考えると思うんですよね。どうしても、レールを敷きたくなる。わが子が苦労しないように、できるだけこの子が健やかによりよく生きていけるようにと導きたくなると思います。そして、「それなりの学校に入れないと、そこで終わってしまう……!」みたいな。
でも、絶対にそんなことはないですから。一人ひとりの子どもの将来や、未来の社会なんて、私たちには想像できないんですよ。未来は若い世代、子どもたち一人ひとりが作っていくものであり、こうなってほしいと思っても絶対その通りにはなりません。テクノロジーもどんどん発達していくし、もう10年先どころか5年先も想像できない時代ですから。
もっと子どもを信じて、子どもの未来を作りすぎない、逆に、子ども自身が迷いながら出していく答えを信じることだと思います。
私たちは逆に子どもたちから学ぶくらいで、あまりレールを引きすぎないこと、引こうとしないこと。そして、何か子どもが失敗しても悲観しない、と心がける必要があると思います。

山本:このたびブレイディさんとお話ができて、自分の人生を切り拓いていくことの大切さを再確認しました。私たち公文としては、個人別教育による人材育成を通じて地球社会に貢献できるよう、一層努力してまいりたいと思いました。ありがとうございます。

【ブレイディみかこさんプロフィール】
保育士、ライター、コラムニスト。1965年福岡県生まれ。高校卒業後、音楽好きが高じて渡英を重ね、1996年から英国ブライトンに在住。最新刊『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)は、第73回毎日出版文化賞特別賞、Yahoo!ニュース|本屋大賞、ノンフィクション本大賞などを受賞。

 

関連リンク
THE BRADY BLOG (ブログ)
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ツイッター

関連記事

KUMONグループの活動  2020/03/31更新

Vol.348 特別対談 BRAC創設者アベド氏を偲んで

教育を通じた社会貢献を 目に見える形で実現できた BRAC×KUMONプロジェクトの未来

KUMONグループの活動  2016/10/27更新

Vol.092 くもん出版‐外国語版ドリル「Kumon Workbook」

くもんのドリル 「Kumon Workbook」が 海外でも大好評! 累計売上1500万部のヒットの秘密 9つの言語に翻訳され世界57か国・地域で販売

2018/11/30更新

Vol.051 跡見学園女子大学 学長
笠原 清志先生

心を開き、異質なものへの 素直な興味を持ち続けよう

調査・研究・アンケート  2019/05/28更新

Vol.308 現役大学生が考える英語とは②

イマドキの大学生の 英語観の変化とは? 「関西学生Jazz Festival 2019 大学生アンケート」結果

2018/12/07更新

Vol.051 跡見学園女子大学 学長
笠原 清志先生

心を開き、異質なものへの 素直な興味を持ち続けよう

バックナンバー

KUMONグループの活動  2020/06/02更新

Vol.357 浮世絵に描かれた遊び

「ままごと」遊びがうつし出すもの ~子どもの遊びから見える人々の暮らし~

KUMONグループの活動  2020/05/26更新

Vol.356 ~創始者公文公の言葉より~

    公文式の原点②            <自学自習>

KUMONグループの活動  2020/05/19更新

Vol.355 フコクしんらい生命との協働

認知症の方とご家族が安心して暮らせる 社会づくりを目指して ~認知症予防セミナー~

KUMONグループの活動  2020/05/12更新

Vol.354 浮世絵から見える江戸時代の人々

“百物がたりのまなび”とは? ~人々の暮らしと「お化け」の関係~

子育て・家庭学習  2020/05/01更新

Vol.353 家庭学習調査2019(3)
保護者の子どもへの関わり方

家族の誰と過ごす時間が 長くなっているのか?

KUMONトピックス カテゴリー別インデックス

記事アクセスランキング

おすすめ記事 Recommended Articles
OB・OGインタビュー
Catch the Dream 夢をかなえる力
NEW
Vol.069 後編
米ベンチャー投資家/京都大学特任准教授(DNX Ventures インダストリーパートナー)
山本康正さん
「見晴らしの良い場所」から 学ぶことで未来はよりよく見える
Vol.069 前編
米ベンチャー投資家/京都大学特任准教授(DNX Ventures インダストリーパートナー)
山本康正さん
「見晴らしの良い場所」から 学ぶことで未来はよりよく見える
Vol.068
バレエダンサー
ニコライ・ヴィユウジャーニンさん
「石の上にも三年」の気持ちで 一歩一歩進んでいけば 山も登れる
Vol.067
AKB48
武藤十夢さん
「可能性の追求」を続けて 新しい扉を自分で開こう
スペシャルインタビュー
Academic Milestones 学びを究める力
NEW
Vol.062 後編
筑波大学国際発達ケア:エンパワメント科学研究室教授・保健学博士
安梅勅江先生
「エンパワメント」の力が 「みんなが夢を持てる世界」を実現する
Vol.062 前編
筑波大学国際発達ケア:エンパワメント科学研究室教授・保健学博士
安梅勅江先生
「エンパワメント」の力が 「みんなが夢を持てる世界」を実現する
Vol.061
臨床心理士、国際TA協会公認交流分析家
末松渉先生
「心の危機」は成長の機会でもある 「学ぶ喜び」を知って 「生きる力」にしていこう
Vol.060
合同会社MAZDA Incredible Lab CEO
松田孝さん
プログラミングをきっかけに 未来社会に向けて 「新しい学び」を獲得していこう
KUMON now! フェイスブックページ
KUMON now!に「いいね」して、子育てに役立つ情報を受け取ろう!