はじまりは1本の電話から
2013年3月、KUMONに1本の電話がありました。現アジア・ビズ・フォーラム顧問の田丸周氏からの問い合わせで、「バングラデシュのNGO団体BRAC(※1)のアベド総裁が5月に来日するが、KUMONを訪問してぜひ教育についてのディスカッションをしたい」とのことでした。BRACといえば世界最大級のNGOで、その規模だけではなく、活動資金の多くを寄付に頼らずに自らの事業で収益を上げて貧困撲滅のために活動を広げていることで有名な稀有な組織です。当然私たちも以前から注目していましたが、先方から、しかもアベド総裁直々に訪問のご希望があることに驚きながら、日程を調整して角田前社長との会談が実現することとなりました。
BRACとKUMONとの関係構築にはもう一人の立役者がいます。跡見学園女子大学の笠原清志教授です。BRACのアベド総裁とは、ご自身の研究活動を通じて親交を深め、総裁から絶大な信頼を寄せられておられました。5月の会談にも立ち会っていただき、その後もBRACとKUMONの協働の後押しにご尽力いただきました。
共通する“理念”を持つ組織であることで意気投合
![]() アベド総裁(右)と角田前社長 |
2013年5月の会談は、BRACとKUMONそれぞれの組織の紹介から始まりました。BRACアベド総裁ご夫妻からは、アベド総裁夫人の甥御さんの奥様がアメリカで公文式教室を開設された際に公文式を知り、その頃から公文式学習法に興味をもっていたとお聞かせくださいました。
BRACは、貧しい人々のためにさまざまな経済的・社会的プログラムを提供して彼らの生活を向上させ、社会を変えてきました。その根底にある想いは「人々の可能性を発揮できるようにするために」というもの。KUMONには、「われわれは 個々の人間に与えられている可能性を発見し その能力を最大限に伸ばすことにより 健全にして有能な人材の育成をはかり 地球社会に貢献する」という理念があります。
お互いの組織の目指すところを共有していく中で、改めて両者の“理念”が同じ方向を向いていること、またその理念が実践・活動レベルにまで浸透していることが感じられ、将来に向けた協働を目指すことを確認できた会談となりました。
※1・・・BRAC とは
1972年、人道的ニーズに応えるためにバングラデシュで設立。その後活動を広げ、現在は貧困削減を目的として、食糧生産、教育、保健、金融ビジネスなど多岐にわたる事業を行っている。バングラデシュの他、アフリカやアフガニスタンなどでも活動を展開している世界最大級のNGO。