OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2015/07/10更新

Vol.021

天文学者 布施哲治さん  後編

10年後目標を思い描いて
たくさんの”引き出し”を持とう

布施哲治 (ふせ てつはる)

1970年神奈川県生まれ。総合研究大学院大学博士課程修了、博士(理学)。国立天文台ハワイ観測所広報担当研究員を経て、現在は情報通信研究機構鹿島宇宙技術センター主任研究員。研究テーマは太陽系天文学、とくに衛星や彗星、小惑星、太陽系外縁天体、準惑星など。日本の「はやぶさ・はやぶさ2」ミッションやアメリカNASAの「ニュー・ホライズンズ」ミッションに携わり、最近では地球の周りを回る人工衛星を研究開発している。著書に『なぜ、めい王星は惑星じゃないの?』(くもん出版)ほか。

情報通信研究機構鹿島宇宙技術センターで天文学や人工衛星の研究開発を重ねる天文学者の布施哲治さん。書籍の出版や講演会など“天文のスポークスマン”としても広く活躍されています。そんな布施さんを天文の世界へと導いた最初のきっかけは、幼きころに両親から買ってもらった一冊の図鑑でした。

自然に「ゴール」はない ゴールは人間が決めるもの

天文学者 布施 哲治さん

はるかかなたにあって手に取ることはできない「星」ですが、テクノロジーの進化は、より天文学を私たちに近づけてくれています。みなさん、昼間に星を見ようとは考えないでしょう? でも実際には、昼間の空にも星はあり、星座が並んでいるんですよ。明るい太陽光があるので目では見えないだけなんです。もちろん、昔は昼間に星を見ることはできなかった。その後、望遠鏡によって宇宙が観測され出したのは1610年のことですが、それでも昼間の星を見ることはできませんでした。昼間には、どこに星があるのかわからないですからね。それが、いまは望遠鏡の駆動モーターをコントロールするパソコン画面をクリックさえすれば、望遠鏡が自動的に動いて昼間でも星をとらえることができるようになりました。

ただ、どこまで技術が進歩しても、星に手が「届いた」という感覚はありません。ひとつわかると、ひとつわからないことが出てくる。宇宙の謎のすべてが解明されることはないのかもしれませんね。例えば医療であれば病気を治すというゴールがありますが、天文学のゴールはとても遠く、それこそ不思議が無限に広がっているような気がします。

私が書いた一冊『なぜ、めい王星は惑星じゃないの?』(くもん出版)では、「いまの大人たちが子どものころは9個だった惑星が、めい王星が惑星ではなくなって8個になった」ことをテーマにしています。それは人間が決めたルールに則って「惑星は8個」と規定されたということなんです。大事なのは、そのルールが果たして正しいのか、つねに考えることです。あくまでも現在ある情報や知識や経験を基にしてそう規定しただけで、100年後には「当時の研究者は、惑星が8個なんてバカなことを決めたものだな」と言われるかもしれません。

つまり、宇宙や天文学に「ゴール」はないような気がしています。地元のFMラジオ局の私の番組には、子どもたちからたくさんの質問が寄せられます。答えるのが難しい質問のひとつは、「宇宙は、どうしてはじまったのですか?」というもの。私の答えは「正直、私にもわからないのです。もし君が将来研究者となって答えが見つかったら、最初に私にこっそり教えてね」(笑)。わからないことはわからないと言えることも大切だと感じています。

「大きくなったら何になる?」という問いを大切にしている理由とは?

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