「世の中を変えるかもしれない」
技術を持つベンチャー企業を育てる
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私の現在の仕事は、国内外の優れたベンチャー企業に投資をして育てること。日本の大企業に紹介するなどして、日本企業に変革をもたらすこともあります。
「優れたベンチャー企業」というのは、「世の中を変えるかもしれない」技術や仕組みを持つ企業です。皆さんがお使いのスマートフォンも、始まりはベンチャー企業でした。そのように、5年後、10年後、社会になくてはならないものとして、人々の役に立つモノやサービスを生み出すことができれば、投資家冥利に尽きます。
私自身が直接その会社を経営するわけではなく、いわば、アスリートと監督のような関係です。応援した選手が主役でオリンピックに出場し金メダルを獲ったらうれしいですよね。そんなイメージです。
最近の投資例を挙げると、ブロックチェーン関連の日本企業や、電気や水道、Wi-Fiなど家の機能を統合させた“スマートホーム”を手がけるアメリカ企業などがあります。
ユニークなところでは、アメリカで抹茶を扱うベンチャー企業も個人的に応援しています。アメリカでは健康志向が高まり抹茶が大人気なんです。そこに目をつけたのは、日本の大手飲料メーカーで働いていた日本人でした。飲料メーカーの社員として抹茶の普及に携わることはできたはずですが、会社に所属していると制約や異動もあります。それで自分の志を貫きたいと、会社を辞めて起業した熱意の持ち主です。
投資する際に重要視しているのは「人」で、単に儲けだけを目的とした企業には投資しません。「この人ならやりきるだろう」と、その人を信用できるかどうか。そして「本当にこのビジネスをしたいと思っているか」「なぜこのビジネスをしたいのか」といった視点、かつ「人を巻き込めるかどうか」という視点を大切にしています。起業して成長するには、いかに多くの人から信頼されて協力を仰げるかがポイントになるからです。
また、プライドが高すぎると「自分が優れている」と思ってしまい、その時点で成長は止まってしまいます。「常に違った見方がある」と考えることができることも、起業家として大切な要素で、そうした人たちを応援しています。