小学生の頃は漫画家になりたくて、ずっと絵を描いていた
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今はちょうど、原稿をひとつ書き終えたところです。内容を少し紹介すると、宮沢賢治が教師をしていた花巻農学校の後身の農業高校に地学部を作るというお話です。文学や童話ではなくて、地学研究者としての宮沢賢治に光を当てた青春小説です。
私はずっと科学を題材に執筆していますが、高校生が主人公の小説は初めてです。物語のモデルにした花巻農業高校に実際に取材を申し込んで、高校生たちにも話を聞きました。その意味ではこの執筆は私にとっては新鮮でした。
今のところ2年にだいたい3作品くらい書いていますが、半年で書けるものもあれば、1年以上書き続けているものもあります。構想に1年、編集者と打ち合わせながら、書き始めてからも1年、計2年くらいかかる場合もあります。着想のヒントは、科学雑誌を読んだり、SNSで科学関連の投稿をフォローして、おもしろい着眼点を参考にしたりすることもあります。
私は若い頃、特に研究者時代は夜型でしたが、小説家に転身してから最近は完全に朝方になりました。午前中の方が集中できるのですが、締め切りが迫っていたら徹夜することもあります。ふだんは午前中執筆して、昼からは本を読んだり資料を探して街をさまよったり。パソコンに向かっていて、煮詰まってきたらカフェに行って書くこともあります。
でも、小さい頃から小説家に憧れていたわけではありません。子どもの頃は、藤子不二雄が大好きで、漫画家になりたいと思っていました。宇宙や惑星にも興味があって、藤子不二雄のマンガの中でもSFっぽいものがすごく好きで、真似してずっと絵を描いていたほどです。
宇宙や惑星に関心をもつようになったのは、父の影響もあるかもしれません。工学部出身でメーカーのエンジニアをしていた父は、科学が好きで、家には『ニュートン』などの科学雑誌や科学系の書籍がたくさんありました。私は小学生くらいから、それらの雑誌に触れていました。