学びは楽しくおもしろい!
「学びのプロダクション」として様々な仕掛けを提供
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私が経営する会社のキャッチコピーは「学びプロダクション」。既存の教育界の関係者では、なかなかできないような教育の企画や製作、コンサルティングなどをしています。スタッフの背景も様々で、クリエイターに近いので教育クリエイターと名乗っています。
例えば、全国主要都市を中心に37キャンパスを展開する通信制の高校では、3年間かけて全キャンパスにプロジェクト型の学び(PBL: Project Based Learning)のプログラムを提供しました。沖縄の高校では地域課題に向き合う総合的探求の時間をコーディネートしています。島しょにある小規模小中高にはオンライン授業や部活の導入支援をしました。このように学びには様々なアプローチがありますが、限定したくないので、「学びのプロダクション」と掲げています。
教育アプローチのひとつにSEL(Social Emotional Learning=社会性と情動の学習)という手法があります。他者を理解した上で良好な関係を築ける「社会スキル」(Social)、自己認識能力や自己管理能力など「気持ちや感情に関わるスキル」(Emotional)というふたつを伸ばす学び(Learning)のことをいいます。さらに詳しく言うと、SELには、「自尊感情」(自分が価値のある人間であると感じられている状態)と「対人関係能力」を伸ばしていこうという目的があります。
これは私がアメリカでの大学院時代に出会った手法で、日本の教育にも必要だと感じています。そこで一般社団法人をつくり、講座を開催するなど普及浸透に努めているところです。
実は「泡盛ガール」として、メディアで泡盛について発信したりしています。泡盛に関心を持ったのは、教育関連の仕事を続けることに悩んでいた20代中頃。600年の歴史があり、物語をはらむ泡盛の奥深さにひかれ、そのおもしろさを同世代に伝えたくて、3~4年前から「泡盛ガール」を名乗っています。
社名のroku youは、琉球王朝時代に書かれた『六諭衍義』(りくゆえんぎ)という書物に由来しています。人が人として身につけなければならない6つの教え(六諭)が記され、ひと言でいえばハートとマインドの教科書です。沖縄の言葉でいえば、「ちむぐくる(肝心)」。「頭と心」ではなく「肝と心」を大切にしているのは、SELとつながる部分があると感じています。
立地条件がよく、歴史的にいろんな国から目を付けられてきた沖縄は、戦ではなく対話とおもてなしで平和と調和に務めてきました。根底にあるのは「ちむぐくる」です。私はここに世界の未来のあり方があると思っています。そんな沖縄の可能性と私の思いが重なり、「ちむぐくる」の教科書といえる『六諭衍義』の一部を社名に使わせていただきました。きっかけとなったこの本は、琉球宮廷料理のおかみさんからいただいたもの。私の大切な宝物です。