はじめは、ただ将棋を指すのが楽しくて仕方なかった

将棋に出会ったのは小学1年生のころ。野球、缶蹴り、ラジコンなどの遊びのひとつとして将棋がありました。両親は将棋を指さないので、友だちから駒の動かし方を教えてもらって。2年生から道場に通うようになり、そこで初めて将棋の基本に触れました。公文を始めたのは、その少し前のことでした。
当時、私の家は東京郊外にあり駅からもだいぶ離れていて、週末になると1週間分の買い物をしに駅まで出かけるんです。親たちが買い物をしているあいだ、私は道場にいて、買い物が終わったら親が迎えに来て帰る、という感じでした。
道場には面倒をみてくれるお兄さんや同年代の子もたくさんいたので、楽しかったですね。勝負の厳しさ云々よりは、そのころはただ将棋を指すのが面白くて仕方なかった。
うちの両親はほとんど将棋のことを知りません。父親は基本的にアウトドア派だし、母親にいたってはルールも怪しい。私は誰からも強制されず、ただ楽しい気持ちが出発点としてあったので長続きしたのかもしれません。
それは非常に大切なことで、何か道を究めようと思ったとき、大変さ+αで楽しさや面白さがないと集中できなくなるんじゃないかなと思うんです。楽しいことをしているときの子どもの集中力はすごいじゃないですか。色々なことを経験していくことで、集中力を持続させたり、ばらつきなくできるようにしていくことを学んでいくのではないでしょうか。小学6年生で奨励会(注)に入って(後述)忙しくなってからも、公文の学習を続けられたのは、たいへんなときもありましたが、将棋と同じでやはり面白かったからでしょうね。
(注) 奨励会:日本将棋連盟のプロ棋士養成機関