英文記事を読み「日本以外の違う価値観がある」と気づいたことがバネに
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こうして現在、英語指導に携わっている私ですが、自分が教える立場になるとは思ってもいませんでした。私が英語に出合ったのは、小学校に入った頃、母が自宅で英語教室を開いたのがきっかけです。「ぐりとぐら」などの英語版の絵本を覚えて、皆で劇や紙芝居をするという教室でした。いま、英語落語をしている私ですが、小さい頃からそんなことをしていたのだなと、ときどき思い出します。
育った家庭では欧米の方の出入りも多く、英語が身近ではありました。そのため、「英語は得意でしょ?」といわれることが多かったのですが、入り口がコミュニケーションだったため、中学に入ってから文法が苦手になってしまい、じつは英語の授業にあまりいい思い出はありません。
ですからいま、「コミュニケーション重視で学習してきたために文法が苦手」というお子さんの状況や気持ちがよくわかります。今ではもちろん文法も楽しく教えていますし、だからこそ、そうした人に適切な教え方ができると思っています。
「英語が嫌い」と思うこともあった私が、なぜここまで英語に関わり続けられたかというと、『TIME』や『Newsweek』などの英文記事を読んでいると、日本では得られない情報に接することができることに気づいたからです。理不尽なことがあっても、「これは他の国ではたいしたことないんだ。理不尽だと思う私の感覚は間違っていないんだ」という妙な安心感がありました。「何が書かれているのか知りたい」と思うようにもなりました。
就職してからは、海外を担当する部署に配属され、英語を使って仕事をするように。そこで英語の必要性を実感しました。結婚を機に退職した後は、学生時代に英会話学校で教えていたこともあり、子育てをしながらあちこちで、子どもから大人まで、さまざまな人に英語を教えていました。
やがて夫のアメリカ転勤に伴い、子連れで渡米。そこで前述したTEFLコースに通って最新の教授法を学んだことが、私の転機になりました。教え方が変わり、その後ロンドンの大学院で応用言語学修士課程を修了し、大学で指導するようになり今に至っています。