大学は知の拠点、文化の発信源
じっくり学び直せる場にしたい
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私は学校教育はできるだけ小さくして、生涯学ぶことを前提とした「学び方」を教えるのがいいと思っています。今、大学は18歳の取り合いをしているだけです。本当に勉強したくて通っている人もいますが、そうではない人も多い。むしろ社会に出てから、本当に学びたいことが見つかることがあります。そんなとき、気軽に学ぶことができる。それが当たり前になるといいと思いますし、そこに大学は門戸を開くべきだと思います。
OECDの調査(「OECD Stat Extracts (2012)」)では、25歳以上の成人が大学に籍を置いているのは、各国平均で20%に達していますが、日本は約2%で、ダントツの最下位です。逆にいえば日本にはこれからの伸びしろがあるともいえます。
私は人生の中で大学に3回入学するのがいいと言っています。まずは18歳、次に社会に出て学びたいことが見つかったとき、そして定年が見えてきたとき、です。3回目は生き直しのための学び直しです。大学は知の拠点で、文化の発信源ですから、学びたい人のために腰を据えてじっくり学び直せる場にしたい。それが大学改革にかかわっている現在の私の夢です。
夢はもうひとつあります。「子育て実践学」を立ち上げて若者に教えることです。私は幼児教育の研究助成を行うある公益財団法人に関わっており、幼児教育・家庭教育に関するシンポジウムなども企画・実行しています。
この活動を通して「親を育てる教育」を開発したくて、研究会も立ち上げました。幼児教育の専門家だけでなく、哲学者や歴史学者、心理学者、法学者などにも関わってもらい、あらゆる学問を総合した「子育て実践学」として、カリキュラムやテキストをつくり、学生全員にできれば必修にして、将来的には学会も立ち上げることができればいいなと考えています。この仕事は、私なりの社会への恩返しです。