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Vol.358 2020.06.09

KUMONの子ども文化研究

浮世絵などの貴重な文化史料から
子育てや子ども文化をあらためて学ぶ

KUMONが浮世絵などの貴重な文化史料をもとに、子ども文化の研究を始めて34年。今回は、所蔵する子ども文化史料に関する活動のご紹介です。

目次

    「浮世絵」を通してよみがえる江戸期の子ども文化

    KUMONでは1986年から子ども文化の研究を目的に、江戸時代以降に描かれた子ども文化に関する「浮世絵」「絵巻物」「屏風」「絵本」「玩具」、そして江戸時代の寺子屋で使われていた教科書である「往来物(おうらいもの)」などの蒐集をスタートしました。現在、約3,200点を所蔵しています。
    そして、KUMONが所蔵する当時の子ども文化が描かれた全ての浮世絵を誰でもいつでも自由に検索閲覧できるウェブサイト『くもん子ども浮世絵ミュージアム』を2013年4月1日より公開し、これまでの作品の解説などの研究成果を社会に還元しています。また、ミュージアムの中では浮世絵の歴史や浮世絵が完成するまでの過程などを学ぶことができます。2017年からは立命館大学のアートリサーチセンター(ARC)との協働で所蔵する浮世絵以外の作品もARCのサイト上でご覧いただくことができるようになりました。

    子宝遊『子宝遊』 歌川国芳 天保末頃(1841-44)

    江戸時代の子育てから学べること

    これまで、所蔵作品は教科書や各種論文など文献に掲載されたり、美術展などで出展協力をしてきました。2018年から広島県立美術館を皮切りに年1回のペースで巡回開催している「くもん子ども浮世絵コレクション『遊べる浮世絵』展」は、2019年には東京の練馬区立美術館、2020年には奈良県立万葉文化館で開催されました。浮世絵、奈良絵巻、奈良絵本、屏風、貝合わせなどの貴重な作品群を厳選して展示して子どもから大人まで広くご堪能いただいています。

    竹取物語(上中下)竹取物語(上中下) 作者未詳   和俗童子訓(仁義礼智信)和俗童子訓(仁義礼智信) 貝原益軒

    こうした展示会で展示されている作品郡を見つめ直してみると、私たちがあらためて学ぶこともたくさんあります。例えば子ども浮世絵には、子どもたちの遊ぶ姿、礼儀よく挨拶をする姿、学ぶ姿など、浮世絵の中にはあふれんばかりの当時の子どもの姿が描かれています。彼らの姿をじっくり見ていると、江戸という時代の世相とともに、日本中に広がりを見せた寺子屋(手習塾)の普及により世界的な就学率と識字率を誇った教育観や子どもを宝物のように育てた子宝思想の中で育てられた子どもたちの本来の姿が見て取れます。そして、それはそのまま、現代のわれわれ大人が子どもたちをどう見守り、寄り添っていけばよいかを教えてくれているような気がします。

    子供遊び尽くし 春 夏 秋『子供遊び尽くし 春 夏 秋』 歌川芳虎 嘉永頃(1848-54)

    関連リンク くもん子ども浮世絵ミュージアム 立命館アート・リサーチセンター

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