スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2017/12/22更新

Vol.046 教育心理学者 宮下孝広先生  前編

家庭や地域でも学びをうながし
子ども自身の力発揮させよう

宮下 孝広 (みやした たかひろ)
1956年富山県新湊市(現・射水市)生まれ。富山県立高岡高等学校、東京大学教育学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。東京大学教育学部助手を経て現在白百合女子大学人間総合学部教授。専門は教育心理学および教育方法学。「日本子ども学会」常任理事。小学校での授業研究の傍ら、PTA活動・地域活動にも参加。著書に『新版発達心理学への招待―人間発達をひも解く30の扉』(共著、ミネルヴァ書房)、『教育の方法と技術第2版』(共著、学文社)などがある。

人から人へ、知識や技能はどのように伝わっていくのか。それを教育学の核心として捉え、子どもたちへの教え方を探求している宮下孝広先生。教員一家に育ち、子どものころから「教育に関わる仕事」をすることが夢だったそうです。その夢をかなえて、現場重視の研究を重ねられています。研究をふまえ、今の時代の教育や学びのあり方、大人ができることなどについてうかがいました。

他人を思いやることにつながる「教示行為」に着目

私が現在関心をもっている研究テーマは「教示行為の発達」です。「教示行為」とは、教えること。子どもは子ども同士、あるいは大人にも、年少の子に対しても教えることがあり、そのような行為がどう発達していくのかに着目するものです。「教える」と「発達」という領域にまたがる研究を進めている私にとって、非常に重要なテーマであり、2016年4月に白百合女子大学にできた初等教育学科の教員として、これを中心テーマにしようと学んでいるところです。

発達心理学では、いま「心の理論」というテーマが注目されています。これは「相手の心のうちで何が考えられているのかを推測する」というもので、教示行為にも関係しています。教える立場である教師が、いまこの子はどういうことがわからないのか、理解してもらうためにはどんな教え方がよく、どんな素材を使えばいいのかなど、相手の心の内を理解して教えるプロセスをつくっていかないと、一方的な教え方になってしまうからです。「教える」ということの研究は、「他者を理解する」という発達心理学の根本的なところとつながっているということです。

相手の思いを推測する力ともいえる「心の理論」が成立するのは4~5歳前後と考えられています。それ以前の子の場合、自分が知っていることを相手に伝えるとき「やってみせる」ことがほとんどで、たとえば大人に折り紙を教える場合、折ってみせて教えます。言葉が発達してくると、「最初に三角に折って」など、言葉による説明ができるようになります。そして年長児くらいになると、その人が何を期待しているのかを推し量れるようになり、それによっては「すべて教えるのが良い教え方ではない」と、理解して行動するという研究結果もあります。

このように、幼児期までは教示行為の発達に関してある程度の知見はあるのですが、小学校にあがると、教えたり教えられたりということが教室内で組織的に促されていくため、自然な文脈で教示行為がどう発達していくのかにはあまり関心はもたれていません。そこで私は、それを自分の研究課題にしたいと思っているのです。

「読み聞かせ」のもつ幅広い意味とは?

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