スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2017/12/26更新

Vol.046 教育心理学者 宮下孝広先生  後編

家庭や地域でも学びをうながし
子ども自身の力発揮させよう

宮下 孝広 (みやした たかひろ)
1956年富山県新湊市(現・射水市)生まれ。富山県立高岡高等学校、東京大学教育学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。東京大学教育学部助手を経て現在白百合女子大学人間総合学部教授。専門は教育心理学および教育方法学。「日本子ども学会」常任理事。小学校での授業研究の傍ら、PTA活動・地域活動にも参加。著書に『新版発達心理学への招待―人間発達をひも解く30の扉』(共著、ミネルヴァ書房)、『教育の方法と技術第2版』(共著、学文社)などがある。

人から人へ、知識や技能はどのように伝わっていくのか。それを教育学の核心として捉え、子どもたちへの教え方を探求している宮下孝広先生。教員一家に育ち、子どものころから「教育に関わる仕事」をすることが夢だったそうです。その夢をかなえて、現場重視の研究を重ねられています。研究をふまえ、今の時代の教育や学びのあり方、大人ができることなどについてうかがいました。

国立大に合格するも1か月で辞めて再受験

宮下 孝広先生 後編

富山県の教師一家に育った私は、小さい頃から教師になろうと思っていました。ほめられることがうれしくて、小さい頃からいわゆる「いい子」でした。中学・高校になると、そのことに疑問を抱くようにもなりましたが、実際には大きな反抗はなく、生徒会長や部活の部長をするなど、期待される人物像にはまっていました。部活は中学・高校とブラスバンドで、高校ではホルンを担当していました。両親はとくに厳しいということもなく、高校生くらいのころ、「お前はどこに出しても大丈夫だ」といわれたことが自信になったことを覚えています。

高校時代は教育行政に携わりたいと考えるようになり、官僚をめざして東京大学文科一類を受験しましたが、失敗。東京に出て予備校に通い、翌年再び受験したものの見事に不合格。当時の二期校の経済学部に合格しましたが、1か月で退学。そこにできた経済法学科で法学を学べば行政に関われるのではと考えての入学でしたが、肌に合いませんでした。それでまた予備校へ。本当にやりたいことは何かと考え、教育研究者か、教師への道を探りました。

結局二浪して東京大学文科三類に合格。2年次後期からの専門科目となった教育学の授業で出会ったのが「教育方法史」という領域を開かれた稲垣忠彦先生です。先生が紹介してくれた教育実践の中に、大阪の小学校の先生による版画の授業がありました。秋田県にある八郎潟の伝説を版画で表現した大作で、「子どもたちはこんなことができるんだ」と圧倒され、「教育はおもしろい」と実感。このことが教育研究の道に進む決め手となりました。教師として現場に立つのも魅力的でしたが、枠にはまらない形で教育を考えたく、研究者となって現場の教師を支える側に回ろうと考えました。

その後、教育心理学の東洋先生や家族心理学の柏木惠子先生、生涯発達心理学の田島信元先生など、一緒に研究する方々に恵まれ、挫折というのは幸いあまりありませんでした。目の前の仕事を一歩ずつ進めてきたことが現在につながっていると思います。

私は押しの強い研究者タイプではありません。ただ、教育実践をテーマにした場合、学校現場とのつながりが重要になってくるため、管理職である校長先生をはじめ担任の先生方とのやりとりが円滑にできる人が必要です。実際、大学のある調布市内の小学校と継続的な関係がつくられており、その意味では、私のようなタイプの研究者も必要なのかなと思っています。

宮下先生から子育て中の方々へのメッセージ

関連記事

2017/12/22更新

Vol.046 教育心理学者 宮下孝広先生

家庭や地域でも学びをうながし 子ども自身の力を発揮させよう

バックナンバー

2020/01/10更新

Vol.059 慶應義塾大学医学部
精神・神経科学教室専任講師・医学博士
佐渡充洋先生

「ネガティブな自分」を 理解することは「ポジティブな学び」 楽しいことも苦しいことも一生懸命体験しよう

2019/11/01更新

Vol.058 早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授
澤木泰代先生

言語を学べば、 知らなかったことを知ることができる 一歩一歩、「知るよろこび」「進むよろこび」を味わおう

2019/10/11更新

Vol.057 中部大学 副学長 国際センター長
辻本雅史先生

くり返しによる「学びの身体化」で その学びは本物になる 学び続けて生涯自分を成長させよう

2019/07/12更新

Vol.056 声楽家
安田祥子さん

歌いかけは親子をつなぐ大切な時間 童謡が持つ日本語の豊かさを大切に

2019/06/28更新

Vol.055 東北大学スマート・エイジング学際重点研究
センター特任教授/村田アソシエイツ代表
村田裕之先生

「人生100年時代」に向け、 自分の「好き」を見つけて 「自分軸」で生きていこう

記事アクセスランキング

おすすめ記事 Recommended Articles
KUMONトピックス
Feature Report 進化し続ける活動
カテゴリーを表示
NEW
Vol.340
くもんの教具「磁石すうじ盤」の魅力とは?
乳幼児の数の理解を深め、    高齢者の脳の活性化にも!
Vol.339
南アフリカの公文式教室
一人でも多くの南アフリカの子どもたちに 学ぶ機会を
Vol.338
浮世絵から見える江戸時代の人々
『福づくし』でおめでたい1年に
Vol.337
特別対談 ブレイディみかこさん×KUMON
2019年話題のノンフィクション本と KUMONに共通する思いは 「自分の力で人生を切り拓いていける人に」
OB・OGインタビュー
Catch the Dream 夢をかなえる力
NEW
Vol.066 後編
ジュエリーアーティスト
Lily/福嶋真由子さん
楽しいこともつらいことも すべてのことには意味があり 「学び」や「チャンス」につながる 経験となる
Vol.066 前編
ジュエリーアーティスト
Lily/福嶋真由子さん
楽しいこともつらいことも すべてのことには意味があり 「学び」や「チャンス」につながる 経験となる
Vol.065
弁護士・薬剤師・弁理士
中村智広さん
一つひとつ積み重ねた結果、今がある 枠にとらわれず好奇心をもち、 学び続けて前進しよう
Vol.064
小説家
伊与原新さん
自分の手をたくさん動かし続けて 小さな成功体験を積み重ねれば 見える世界は広がっていく
KUMON now! フェイスブックページ
KUMON now!に「いいね」して、子育てに役立つ情報を受け取ろう!