スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2013/10/25更新

Vol.002 脳科学者 泰羅雅登先生  後編

ヒトには「学びたい」という本能が
あり、「やった!」「できた!」
強化される

泰羅雅登 (たいら まさと)
1954年三重県生まれ。東京医科歯科大学歯学部卒業。同大学大学院歯学研究科博士課程修了。元東京医科歯科大学 大学院 歯学総合研究科 認知神経生物分野教授。

読み聞かせは「心の脳」に働きかけ、豊かな感情を育む――読み聞かせの効果を科学的に初めて実証した泰羅雅登先生。今回は脳科学者である泰羅先生に、読み聞かせと脳の関係や、脳の研究を志したきっかけ、学びについての想いなどをうかがいました。

「ちょうどいい」「ほめる」「くり返し」が、「学ぶ遺伝子」をONにする

では、何が「学ぶ遺伝子」をONにしたのでしょうか。また、どうすれば「学ぶ遺伝子」をONにできるのでしょうか。そのポイントは、公文式ではないですが、「ちょうどいい」「ほめる」と、その結果としての「くり返し」にあると思います。

僕には子どもが二人いますが、上の男の子が小さい時に、計算プリントを手作りしてやらせていました。くり上がりの計算ができたら、つぎは筆算というように、段階を踏み、ちょっとむずかしいかなと思ったら、簡単な問題に戻ったりしていました。当時、僕は公文式を知りませんでしたが、ほとんど同じことをわが子にしていたわけです。

むずかしすぎない、かといって易しすぎない「ちょうどいい」問題は、解き手に「やった!」「できた!」の気持ちをいだかせてくれます。そして、そのときに「よくできたね!」とほめてあげることで、解き手に「うれしさ」をあじあわせ、「もう一回!」のモチベーションを高めます。

また、つまずいたら少し簡単なところに戻し、こちらが手を出さずに、本人にやらせることで再度「やった!」「できた!」と満足感をいだかせるのです。

もう一つ、大きなポイントがあります。それは、「ちょうどいいを見つける」、「ほめる」ためには、解き手をよくよく観察している必要があるということです。学ばせる側の観察がないとこの方法は成功しないのです。

じつは研究で使っている動物(おさるさん)も全く同じです。テレビゲームのようなことを教えるのですが、彼らには言葉で説明することはできません。まずは装置に触っただけでほめてあげる(彼らの場合はえさやジュースをあげるのですが)と、本当に簡単なことからはじめ、コントローラーを操作して画面上のカーソルを自由に動かしゲームができるように学習させていくのです。この場合も彼らの隣にすわって、一日中お付き合いをするのです。

「やった!」「できた!」の体験を通じてほめてもらうことが「うれしさ」を生み出します。「うれしい、たのしい」体験は「またやろう」というモチベーションを高めます。そしてそのくり返しの結果、高齢者も子どもも(おさるさんも!)「学ぶ遺伝子」がONになるのだと思います。このやり方は学習の基本原理なのだと思います。

関連リンク
歌・読み聞かせの効果 Baby Kumon

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