人との相性をリアルタイムで可視化できる日が来るかもしれない

僕は脳の働きを画像化することを基本技術として研究を続けています。その技術を使ったひとつの研究の方向性は、人間の脳が「どんなことをすれば、脳のどこがどのような働きをするか」を明らかにすることです。さらにそれを応用させ、私たちがどういう暮らし方をしたら、今よりもより良く脳を働かせることができるのか、高齢者や成人を対象にしたり、子どもたちの生活調査をしたり、いろいろな角度から研究しています。
今もうひとつ取り組んでいるのは、新しい『脳の計測装置』をつくることです。現在の計測装置は、ベッドに横になり頭を固定する必要があるので、非常に制限が多い。そうではなく、ふだん会話しているときの脳の働きを計れないかと小型の装置を研究中です。試作段階ですが、お互いの気持ちが通じ合っているときは、互いの脳の働きは同期することがわかっています。この研究を進めていけば、より良いコミュニケーションをとる方法についても、答えが見つかるかもしれません。
コミュニケーションというのは目に見えないため、気持ちがすれちがったり、空気が読めないということが起こります。これは、子どもたちの間でも問題になっていることで、「今のコミュニケーションの状態はこれくらい」と明確に数値で可視化できれば、関係性の改善に役立つことが期待されます。