小学生時代に「原子力」と「脳」の本に興味をもったことが、今のボクの原点

平面に描かれた絵が立体的に見える、という経験はどなたもお持ちでしょう。なぜそう見えるのか、そのとき脳はどのように活動しているのか。僕はそんな脳の機能の研究を続けてきました。神経の動きから脳の働きを解明する研究で、「神経生理学」といいます。わかりにくいので、一般的には「脳科学」といっています。
なぜ脳の研究をするようになったかと問われれば、ひとつ思い当たることがあります。それは、小学校の図書室にあった、図鑑のようなシリーズ本との出会いです。何冊かのシリーズのうち、とても興味があったのが、「原子力」の本と「脳」の本でした。「原子力」の本については、町工場を営んでいた叔父がいたため、モノづくりへの関心が高かったのだと思います。
一方、「脳」の本は、よく図鑑にあるようなヘビの脳に始まり、いろいろな動物の脳、そしてヒトの脳までが図解されたもので、それに強く引き付けられ、関心をもつようになった……ような気がしています。実はこの記憶は後付けで作られたものかもしれないのですが、原点として子ども時代にこの2つに関心があったことはたしかです。
僕は三重県で生まれ育ち、小学校は当時としては非常にユニークな教育を実践していた私立校に通学していました。学校はこじんまりとしていて、先生方の目も隅々までとどくし、同級生もみんなが一緒という感じで、学校生活は楽しかったです。魅力的な先生方と出会い、そのためか、成績もそこそこ良かったのですが、運動は姉と比べてあまりできませんでした。けれども、中学ではバスケットボール部に所属し、県大会で優勝。これで運動にも自信がつきました。