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Vol.085 2022.01.14

株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITAL
荒木隆義さん

<後編>

可能性の芽が摘まれないよう
チャレンジできる機会
多くの人に提供したい

株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITAL 取締役

荒木 隆義 (あらき たかよし)

埼玉県生まれ。2013年慶應義塾大学総合政策学部卒業後、野村證券株式会社に入社。投資銀行部門にて、企業買収および資金調達の助言業務に従事。2017年5月クラウドファンディングの先駆企業CAMPFIREの関連会社、株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITAL取締役に就任。同社の融資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Owners」事業の立上げに携わり現在に至る(プロフィールはインタビュー時点)。

社会的意義のある中小企業などの新しい資金調達方法として注目されている「融資型クラウドファンディング」。CAMPFIRE SOCIAL CAPITALでその事業の責任者を務める荒木隆義さんは、大学時代に “機会の平等”の大切さに気づき、それを実現できる手段のひとつとしてクラウドファンディングの可能性にひかれました。ご自身は「機会は与えられていた」と振り返り、そのひとつに公文式教室に通っていたことをあげます。公文式学習で得たことや大学時代での学び、「融資型クラウドファンディング」の意義、今の日本における金融教育のあり方など、幅広くお話をうかがいました。

目次

大学では“正解がない”経済を専門に
仕事の舞台は世界だと思い知る

荒木 隆義

中高時代はあまり勉強しなかったのですが、早稲田大学の系属校だったこともあり、漠然とみんなと一緒に大学に進学しようとは思っていました。それで高2から勉強を始めたら、ものすごく伸びたんです。公文式で身についた集中力がそこで発揮されたのかもしれませんね。

それで、“みんなで早稲田に合格する”と目指していたとおり、早稲田大学社会科学部に合格。ですが、学力がものすごく伸びている時期だったので、「もう少しやったらどうなるかな?」と気になり始め、思い切って浪人することにしました。今思うと、大胆な決断でしたね。

そうして予備校通いが始まりました。予備校にはユニークな先生がたくさんいて、それまでの受験のための勉強とは違い、“学びの広がり”を感じるようになりました。それで「幅広い学問を学びたい」と考え、入学後に様々な関心に沿って専門分野を決める慶應義塾大学総合政策学部に進みました。

プログラミング、デザイン、身体科学など様々な分野を学ぶなか、経済に興味を持つようになったのは、やはり元々「世の中を知りたい」という思いがあったからです。そのための学問としては法律や政治、経済などがありますが、「いろんな理論があるけれど正解がよくわからない」と感じた経済学、とくにマクロ経済学を専門にすることにしました。「わからないほうがおもしろい」と興味を持ったんです。

かつて大臣として日本の経済政策を担っていた竹中平蔵先生のゼミに入り、おおいに刺激を受けました。海外留学する同級生も多く、周囲はみなセレブに見えましたね。ゼミで「世界はどんどん進んでいる。これから経済はグローバルに動いていく。新興国がどんどん伸びていく」といった議論をする中、海外渡航経験のなかった私は、「実際にどうなっているんだろう」と確かめたくなり、大学4年の春から半年間、東南アジアの国々をまわりました。

たしかに中国でもインドでも、みなすごく熱心に勉強している。経済にも勢いがある。それまでは他大学に進学した人たちに負けないよう、あるいは彼らと切磋琢磨しながら仕事をしようと考えていたのですが、本当の競争相手は世界にいるんだと気づかされました。そうした人たちと仕事がしたいと、野村證券へ就職することにしました。

経済学が目指す“機会の平等”に共感

岐路に立ったら「苦労しそうな方」を選択

荒木 隆義

野村證券では企業の買収や資金調達などに従事しました。ただ、ずっと同じ業界で仕事をしようとは考えていなくて、4年間勤務したころに、そろそろ次のステップに進もうと考えました。金融という限られた世界では勝負できますが、金融に限定せずビジネスをやる側にいきたいと思ったのです。そんなときにCAMPFIREで金融事業の責任者を募集していることを知り、転職を決めました。

決め手はキャリアを生かせると感じたこともそうですが、CAMPFIREの「チャレンジできる機会を多くの人に与えていこう」という理念に共感したことが大きかったです。実は私は大学のゼミで、「経済学が目指すのは“機会の平等”」だということにとても感化されました。行動の結果は、失敗する人と成功する人に分かれますが、その前提として“機会が平等であること”が大事だということに気づかされたのです。

振り返ってみれば、首都圏の郊外で生まれ育った自分は比較的機会に恵まれていると思っていました。しかし、中学高校、そしてとくに大学では、自分とは機会が異なる人たちに出会い、「こういう世界があるんだ」とおどろき、機会によって体験できること、得られることの違いを思い知らされました。

そうした気づきがあったので、“機会の平等”はあるべきだとずっと考えていました。日本全国、さらに世界で見たら“機会の不平等”はもっとあるはずで、そうしたなか、“機会の平等”を提供できる仕事はとても意義があると思ったのです。今、まさにそこを開拓しているので、とてもやりがいを感じています。

大学受験や就職などいろいろな転機がありましたが、私は「迷ったときは遠回りをしてより大変な道を進もう」と心がけています。迷うということは、どちらにも良さを感じているということで、それなら苦労しそうな道のほうが得るものが多いのではないかと思うからです。大学に合格していながらあえて浪人の道を進んだのも、大学の専攻で「よくわからない」経済学を選んだのも、そうした思いがあったからですが、結果的には得るものは大きかったと実感しています。

世の中の課題を解決できる仕事作りを目指して

可能性の芽”を摘まない社会を
ビジネスを通じて作りたい

荒木 隆義

日本ではもっと金融教育を充実させたほうがいいとは思います。でも、単に金融商品の知識を得るということではなく、これまでの歴史の中でどんな投資行為が行われてきて、こうした社会情勢だからこんな金融政策が生まれたなど、体系的なストーリーで理解することが大事だと思います。そうすると、個人の投資も意味があるものになるのではないでしょうか。

金融に限らず、「何年に何が起こった」という事実を覚えるだけでなく、その事実をストーリーで結びつけることが、今の日本の教育全般に必要だと感じています。世界の歴史を見ていくと、一国が生まれたり滅びたりすることと金融や投資は無関係でないことがわかります。「このタイミングでなぜこの投資が必要だったのか」と、まず知ることが大事で、こうした視点は、まさに我々が事業の中で大切にしていることと重なります。

人は事実だけを伝えられても、それほど動きません。どんな人が、なぜそれをするのか。それを理解した上で共感を覚えるのだと思います。

私は引き続き“ヒーロー”を目指したいと思っています。世の中の問題に対して課題解決できる仕事を作りあげていくという意味で、ですが。課題というのは、お金がまわる中で漏れてしまう人へのアプローチなど、“機会の平等”となるようなサービスをいかに作っていくかということです。それにより、まだ見ぬ“可能性の芽”が摘まれてしまわないようにしていきたいと思います。

子どもたちには、やりたいことはどんどんやって、とすすめたいですね。本当にやりたいことは、やりたいことをやっていく中でしか見つかってこないと思うからです。「あれもこれもやりたい」では大変ですが、もしお子さん自身が言い出して始めたことをすぐにやめたとしても、その子なりのPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルがあるはずなので、「なぜそうしたいの」と聞いてあげてはどうでしょうか。私の親は「あなたはどういう学校に行きたいの」「どんな大人になりたいの」と、よく聞いてくれました。

クラウドファンディングでも大事なのは「なぜそれをやりたいのか」ということです。大人も子どもも、「なぜそうしたいのか」「なぜこれが必要なのか」ということを、しっかり考えて人に伝えられるようになれば、応援してくれる人が増え、夢が実現できるようになるのではないでしょうか。

前編を読む

関連リンク CAMPFIRE Owners


荒木 隆義   

前編のインタビューから

-「共感」を「投資」という応援の形にする融資型クラウドファンディング
-「学習支援で再犯を減らす」公文の取組みに共感
-問題をクリアする楽しさを味わい学習の土台となった公文式

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