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Vol.085 2022.01.07

株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITAL
荒木隆義さん

<前編>

可能性の芽が摘まれないよう
チャレンジできる機会
多くの人に提供したい

株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITAL 取締役

荒木 隆義 (あらき たかよし)

埼玉県生まれ。2013年慶應義塾大学総合政策学部卒業後、野村證券株式会社に入社。投資銀行部門にて、企業買収および資金調達の助言業務に従事。2017年5月クラウドファンディングの先駆企業CAMPFIREの関連会社、株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITAL取締役に就任。同社の融資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Owners」事業の立上げに携わり現在に至る(プロフィールはインタビュー時点)。

社会的意義のある中小企業などの新しい資金調達方法として注目されている「融資型クラウドファンディング」。CAMPFIRE SOCIAL CAPITALでその事業の責任者を務める荒木隆義さんは、大学時代に “機会の平等”の大切さに気づき、それを実現できる手段のひとつとしてクラウドファンディングの可能性にひかれました。ご自身は「機会は与えられていた」と振り返り、そのひとつに公文式教室に通っていたことをあげます。公文式学習で得たことや大学時代での学び、「融資型クラウドファンディング」の意義、今の日本における金融教育のあり方など、幅広くお話をうかがいました。

目次

「共感」を「投資」という応援の形にする
融資型クラウドファンディング

荒木 隆義

CAMPFIREは件数でも資金調達金額でも国内トップを誇るクラウドファンディングサービス会社です。クラウドファンディングとは、「インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する」こと。支援された事業者は、支援してくれた人にリターンとしてモノやサービスを提供するということは、ご存じの方も多いと思います。このスタイルは「購入型クラウドファンディング」といいます。

しかし、例えばモノやサービスではなく、「伝統を守っていきたい」といった事業については、リターンを何にすればいいのか難しいところです。そこで登場したのが、支援金で事業を成し遂げて利益を出し、その利益を支援者(投資家)に還元する「融資型クラウドファンディング」です。これは金融サービスであり法に準じた運営が必要なので、我々はCAMPFIRE SOCIAL CAPITALという別会社をつくり、「CAMPFIRE Owners」という融資型クラウドファンディングサービスを展開しています。

この事業は、今まで金融機関がほとんどやってこなかった、中小企業やスタートアップ企業の案件を扱っているのが特徴で、私はこの事業の責任者として、サービスの認知を高めることに日々注力しています。具体的にどんな案件があるかというと、例えば「カンボジアの農家支援」。この案件では投資家からの出資金は、大型農機の購入資金として、カンボジアのマイクロファイナンス機関からカンボジアの農家へ貸し出されます。予定利回りは6%で、予定運用期間は11ヵ月と設定しました。

この案件に限らず、支援してくださる方には安心して投資していただきたいですし、いろんな投資を楽しんでいただきたい。そのため、審査も金融機関並みに厳しいです。ただ、それでは金融機関と変わりないので、我々はクラウドファンディングで培ってきたノウハウを生かし、金融商品として数字はしっかり把握した上で、その案件が「信用できるか」「共感できるか」という観点を大事にして審査しています。

条件をクリアする案件を見つけるのは簡単ではありませんが、そのために意識していることは2点あります。ひとつは事業者(資金需要者)のことをよく知ってもらうこと。投資なのでもちろん利回りも重要ですが、その事業を「誰が何のために行うのか」を丁寧に聞き取り、ウェブで紹介しています。この部分が共感を多く呼ぶポイントになり、投資を考えている人の判断材料になりますし、事業者にとっては自社のPRにもなります。もうひとつは、我々自身の信頼を高めるサービス設計にすることです。そのために「どういうメンバーが、どういう案件を扱っているか」、投資家向けにウェブセミナーなどを開催し、告知に努めています。

世の中をよくするための投資実現のために協働

「学習支援で再犯を減らす」公文の取組みに共感

荒木 隆義

私は、純粋に「安全で利益が出る案件」だけではなく、「社会性・メッセージ性のある案件」を取り扱っていて、「他の投資サービスとは違うね」と思ってもらうサービスを作っていくことが大事だと思っています。

その案件のひとつがKUMONとの取組みです。これは、法務省が行う、「少年院出院者への再犯・再非行の防止の実現を目指した学習支援事業」に、KUMONが中心となる共同事業体が事業者として採択されたもので、我々は銀行などとともに資金提供者となっています。「CAMPFIRE Owners」で資金提供者を募ったということです。

事業内容に共感できたことに加え、SIB(Social Impact Bond)という手法を活用した事業であることが我々の興味をひきました。SIBは、「民間資金を活用して社会課題などの解決を目指す公民連携の取り組み」で、いわば「世の中をよくするための投資」であり、我々は以前からこの手法はクラウドファンディング向きだと考えていたのです。日本でSIBを普及させていくためには、業界トップで最も発信力があるクラウドファンディング事業者である自分たちがやらねばどこがやるのか、という自負と責任感がありました。そうした思いで一緒に事業を推進しています。

KUMONがこうしたことをやろうとすることに最初はおどろきましたが、教育で再犯防止をするのは適切な視点だと思いますし、そこにKUMONの教育コンテンツを使うのは合理的だと感じました。それに我々CAMPFIREのサービス自体、「いろんな人に多くの可能性をもってもらいたい」という思いを込めて提供しています。

CAMPFIREの創業者である代表の家入一真も、以前から「再チャレンジのきっかけ」を作り出すサービスを手がけたいと考えていました。そうした背景があるので、共感できるのはもちろん、我々の事業理念とも合致すると思っています。また、我々のサービスに関わっているお客さまには、今回の案件のような社会性の高い分野に関心をもつ方が多いので、その意味ではCAMPFIREとしても評価をいただけるのではないかと思います。

融資型クラウドファンディングで資金調達することで、個人の方々にKUMONの取組みや我々の事業を知ってもらう機会を持つことができたのもよかったと思います。今後も支援者へのさらなる情報発信を一緒にやっていきたいですね。

公文式学習で得られたものとは?

問題をクリアする楽しさを味わい
学習の土台となった公文式

荒木 隆義

私は子どものころは、戦闘モノのテレビの影響で「ヒーローになりたい」と思っていました。親によると、元気で明るく好奇心旺盛で、2歳違いの妹とよく遊び「面倒見がいい」と言われていたようです。親に叱られることももちろんありましたが、両親ともにのびのびと、やりたいことをやらせてくれました。

世の中のことや将来のことをよく話す家庭で、それが影響したのか小学校の卒業文集には「政治家になりたい」と書いたことを覚えています。地元の小学校卒業後は中高一貫校へ。自分の将来について親と話していたとき、「そんな道もあるなら受験してみたい」と思い、自分の意思で受験しました。

KUMONに通うことになったのも、親のすすめではなく自分から言い出したんです。友だちとよく遊ぶ公園の隣りの公民館が教室で、友だちと一緒に参加したことがきっかけでした。

体験してみたら、時間内に計算問題を解くおもしろさにはまり、帰宅後には母に「やりたい」とお願いし、小1から小3まで国語と算数を続けました。ほかに水泳やピアノも習っていましたが長く続かず……KUMONが続いたのは、やっぱりおもしろかったからでしょうね。みんなでよーいドンでスタートして、課せられた時間の中で解いていき、その答えがすぐ返ってきて、間違えたらもう一度やって、それもまたすぐ返ってくるという繰り返しが、ゲーム感覚で楽しかったのだと思います。「この時間内にやり切ればその後隣りの公園で遊べる」ということも、やる気につながったのでしょうね。先生はとてもやさしく丁寧に教えてくださった記憶があります。

公文式学習を続けていて今も役立っていると感じるのは、集中力が養えたことです。「この時間の中でこの量を解き切るには、1問あたり何分で解けばいい」と、考えながら勉強するようにもなりました。受験勉強でも仕事でも、時間が区切られると焦ることがあると思いますが、私の場合、あまり熱くならずに淡々と進められます。そんなとき、「公文式で算数を解いていた感覚と似ているな」と思い出したりします。国語の学習を積み重ねたことも、いろんな文章を読むきっかけになりました。公文式での学びが学習の土台になっていると実感しています。

後編を読む

関連リンク CAMPFIRE Owners


荒木 隆義   

後編のインタビューから

-大学では“正解がない”経済を専門に仕事の舞台は世界だと思い知る
-岐路に立ったら「苦労しそうな方」を選択
-“可能性の芽”を摘まない社会をビジネスを通じて作りたい

後編を読む

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