「内気な性格を変えたい」と
就職活動は営業職を希望
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中高は女子校で似たような環境の人が多かったのですが、入学した東京大学では女子はクラスに1割程度。地方から来た人、ずっと年上の人など、バックグラウンドの異なる人たちがたくさんいて刺激的でした。
当時印象に残っているのは、あるベンチャー企業の創業者の講演です。企業が利益を上げることの大切さを説いた上で、今はない事業を立ち上げることで多くの人が助かる可能性があり、既存の仕事を守っていくことも大事だけれど、そうではないところに目を向けるとおもしろくなる、というような内容でした。それを聞いて、ゼロから事業を立ち上げることに興味を持つようになりました。
そんなふうに感化される一方で、現実の私はやっぱり内気で友だちも少なく、何か持っているわけでもない。勉強が得意だったから受験はうまくいったけど、ただそれだけ。そんな自分に何ができるのか悶々とし、自分を変えたいという気持ちが大きくなりました。子どものときからずっと、積極的で友だちの多い同級生がうらやましく、「自分もあんなふうに社交的になれば人生が変わるかも」と思っていたのです。
就職活動も、「引っ込み思案な自分を少しでも変えたい」と思い、営業をやらせてくれる会社を探しました。でも面接に行っても、受け答えの印象から営業ではなく経理部を進められることもよくありました。そんな中、「営業をやりたいならがんばってみる?」と背中を押してくれたのが水道工事のオアシスグループでした。
自分でもできるのかどうかと思いながらも粘れたのは、40歳過ぎの先輩に、「今の時点での向き不向きは当てにならないから、やりたい気持ちを重視したほうがいい」と助言されたことが影響しています。
就活はベンチャー企業や中小企業に絞りました。大きな会社で今人気の事業をやるよりも、小さい会社を大きくする過程に携わるほうがおもしろいのではと考えたからです。ただ、当時の旬なベンチャー企業はゲームアプリ開発がほとんどでした。私はゲームには興味がなく、生活に密着した事業に関心がありました。そんな時、たまたま求職サイトで見つけたのが、入社を決めたオアシスグループでした。地味ではありますが、水道工事は生活に欠かせませんし、説明会で代表の話を聞き、おもしろそうな会社だなと興味を引かれたのです。そこに就職が決まると、両親は驚くと同時に、「大丈夫……?」と心配顔。説得に1ヵ月かかりましたが、最終的には「やりたいならがんばって」と応援してくれました。