自分で体験しなければ、問題の本質は見えない
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私が所属しているWWFという組織は、「人と自然が調和して生きられる未来を目指す」を使命として活動している環境保全団体です。パンダのロゴから動物保護団体と思われている方も多いのですが、私たちは野生動物に限らず、すべての生き物たちが多様性を守りながら暮らしていける環境づくりに取り組んでいます。
人間だけが幸せでもダメ、かといって経済活動を否定するものではありません。「人が自然と調和して生きる」ためには、環境保全と経済活動のバランスが大切です。「野生生物を守る」「森や海を守る」「地球温暖化を防ぐ」「持続可能な社会を創る」というのがWWFの4つテーマ。
その中で森林グループ長という私の仕事は大きく分けてふたつあります。ひとつがインドネシアのスマトラ、ボルネオ、さらに極東ロシアなど、貴重な自然が残る場所を保全すること。当団体のサポーターからいただいた資金を元に、現地WWFと共同プロジェクトを発足させ、たとえば山火事を防いだり野生動物の調査をしたりしています。
そしてもうひとつは、日本人の消費によって現地の森林資源や人の暮らしが脅かされないよう、企業への働きかけを行っています。環境に配慮した紙や木材などを使ってもらえるように、消費財の購買方針へのアドバイスなども行います。
現地調査のときは自分の足で森に入り、自分の目で現状を確かめます。そうすることで、サポーターの方々に臨場感を持ってプロジェクト内容を報告することができるからです。何事も自分で体験しなければ、問題の本質は見えてこないし、人の心を動かすこともできない、というのはこの仕事で学んだことかもしれません。