OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2015/11/13更新

Vol.026 全国カヤネズミ・ネットワーク代表
畠佐代子さん  後編

自分のできることを
一つひとつ積み重ねることで
大きな答えが見えてくる

畠 佐代子 (はた さよこ)
京都府出身。全国カヤネズミ・ネットワーク代表/博士(環境科学)。河川や里山の野生生物の保全に、研究と市民活動の両面から取り組む。滋賀県立大学環境科学部で環境動物学の非常勤講師のほか、東京大学空間情報科学研究センターの客員研究員を務める。著書に『すぐそこに、カヤネズミ 身近にくらす野生動物を守る方法』(くもん出版)など。

身近な野生動物を守りたい―― そんな一途な思いで「全国カヤネズミ・ネットワーク」を立ち上げた畠佐代子さん。体長はわずか6センチほど、体重は10グラムにも満たない程度、オレンジ色の小さな小さなカヤネズミは、自然環境の変化や開発の波に押されてその姿を消しつつあるといいます。小さな命の尊さ、そして研究に保護活動に、畠さんを突き動かす原動力についてうかがいました。

一つひとつできることを積み重ねていく大切さ


畠佐代子さん著書『すぐそこに、カヤネズミ』
(くもん出版刊)

これまで、「野生動物を守りたい、そのためには知識が足りないから勉強しよう」「カヤネズミの生息地を守りたい。そのために、日本中の人に協力してもらって、不足している生息情報を集めよう」……といった具合に、自分に足りないものを一つひとつ埋めて今があると実感しています。今、野生動物にとって必要なことは何なのか、それこそが私を動かすモチベーションです。

じつは研究を辞めようと思ったことも何度かあるんですよ。人間関係も経済的にも、しんどいことは多いですし。でもそういうタイミングのときに、必ず誰かがカヤネズミの話を持ち込んでくるんです! それに取り組むうちにまた気持ちは研究に戻されていく……。辞められないんですよ。私はこれを「カヤネズミの神様」って呼んでいます(笑)。もう運命なんだろうなって。

もちろん私が守りたいのはカヤネズミだけではありません。野生動物というとアフリカのサバンナのような場所を思い浮かべる方も多いかと思いますが、私は自分にできる形で野生動物を守るためにはどうしたらいいのかを考えたとき、カヤネズミが暮らすような身近な自然に目を向けるべきなのだろうと思ったのです。

私が今一番願っているのは、もっと子どもたちが草原に遊びにきてくれること。カヤネズミのような身近な野生動物は、人の暮らしと密に接しているので、色々な意味で開発の波にさらされやすいんです。

急に今日守れと言われても守れるものではありません。だからまずは知ってもらう。そして河原や自然を好きになってもらって、ギャップを少しでも埋めたい。それが私の担うべき役割かな、と思っています。私が見つけられなかったカヤネズミの巣を、いとも簡単に見つけてくるのはいつも子どもたちなんです。大人が考えているより、子どもたちの「自分で答えを探そうとする力」はスゴイんですよ。

大きな目標を達成するためには、一つひとつ自分のできることを積み重ねていくしかありません。私は17年間、桂川のフィールドに通い続けています。正直「今日はイヤだなぁ」と思うときもあります。でも行く。その日のデータはその日しかとれませんし、先週見つけられなかったものが、今日見つけられるかもしれないからです。

勉強も、保護活動も、単調なことの繰り返しですが、あきらめないでほしい。やっている過程は地味でも、身についたものは自分の財産になります。カヤネズミの巣も一つ二つでは何も分からないですが、百二百と見つければ答えが見えてくるのですから。

関連リンク
全国カヤネズミ・ネットワーク
『すぐそこに、カヤネズミ』(くもん出版)


 

 

前編のインタビューから

-カヤネズミの生息地が消えていく現実
-動物関係の本を読みあさった子ども時代
-研究者である畠さんが選んだ進路は文系だった!?

前編を読む

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