働きながらひたすらコンテストに応募
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高校卒業後は、美術系ではなく一般の大学の理系の学部に進み、大学院を経てふつうに就職しました。大学時代は忙しくて、絵からは遠ざかっていましたし、絵で稼げるわけはないと考えていたんです。でも就職してからは少しずつ時間に余裕ができて、また絵を描くようになりました。
じつは当時、そのときの仕事に人生をかけるほどのやりがいを見出せていませんでした。それで、自分にとってやりがいは何かと考えたときに「あ、絵かも」と、楽しかった思いがよみがえったんです。実際、描いているうちに楽しくなってきて、いろいろなコンテストにも応募するようになりました。
毎月テーマが変わる、あるコンテストに応募し続けたのですが、何度も落選。受賞者の作品を見て、色や配置、余白の傾向を分析するなど、自分なりにすごく勉強しました。やがて、「クリスマス」がテーマだったとき、「今月の1枚」に選ばれました。それが最初の受賞です。この毎月テーマにあわせて描くというのは、単に好きなものを描くのではなく、「クライアントのオーダーに応えて描く」というイラストレーターの基本を学ぶことになったと思います。
ほかにも年賀状素材のコンテストにも応募して、入賞したりしながら、ひたすら応募し続けました。すると、同じように応募し続けている人から、「一緒にグループ展をやろう」「イベントに出よう」などと声がかかり、活動が広がりました。このときの仲間とは、いまでも情報交換をしたり将来のことを話したり、お互い支え合う大切な関係になっています。
大きな転機となったのは、クリエイターの展示会(商談会)への出展でした。イラストレーターだけで100人くらい出展している営業イベントで、一人ずつ小さなスペースをもって、作品をアピールします。出展料もかかりましたが、突破口としてチャレンジしたら、これを機に仕事をたくさんいただくようになりました。そして、絵本雑誌『MOE』の紙上コンテストでは、2013年8月号のトップ賞を受賞。うれしかったですね。