絵に親しむ原点は幼いころのヨーロッパでの美術館巡り
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私は、書籍の挿絵、雑貨のイラストデザイン、絵本の制作を仕事にしています。動物を描くことが多く、この秋にはおふろと動物をテーマにした絵本を出版する予定です。これまでにもオリジナル絵本を2冊出し、この本が3冊目になります。
仕事として描くほか、毎日コツコツ「自分の描きたい絵」を描いています。色の配色を変えてみたり、新しいタッチを試したりと、好きなように描いていて、その中から「これはメモ帳の表紙に使えそう」など、雑貨になっていきます。「切手っぽいシールがあったらかわいいな」と思って、自分でデザインして印刷屋さんに発注してつくったこともあります。これは個人で通販をしている方に販売してもらいました。自分でつくりたいものがつくれたし、買っていただけたのはうれしかったですね。お金だけで考えていくとつまらないので、こういう自主制作も続けていきたいと考えています。
イラストは、一つの絵で多くを表現しますが、絵本の場合、全部のページがそれですと、メリハリがつきません。あるページのインパクトを出すために、その前のページは空白を多めにするなど、メリハリの効いた構成を考える必要がありますし、ひとつの世界観で32ページくらいを描かねばならず、キャラクターの正面の顔と横顔が違うように見えないかなど、全体を考えながら描いています。
でもじつは、イラストレーターになろうと一途に思い続けていたわけではありません。
私は2歳半から5歳まで、父の仕事の関係でドイツのゲッティンゲンという街に住み、現地の幼稚園に通っていました。自然が豊かで、よく外で遊び、休みの日には家族でヨーロッパのいろいろな国に行きました。行った先では美術好きの両親に連れられ、たくさんの美術館を巡りました。いま思えばこの経験が、絵が好きになった原点かもしれません。