努力は必ず自信となって返ってくる

公文式で何学年も先の教材に進むことは、自分の経験からすれば、そんなにすごいことではないのかなと思います。だけど、ひとつのことをそこまで努力できるというのは本当に正しいし、まっすぐです。その努力は大人になっても変わらず、自信となって支えてくれると思います。もともと専門外だったCGの専門スクールで学ぼうと思ったのも、「努力すれば何とかなるだろう」という根拠のない自信でした。だけど、突き抜けるには大きな壁もある。その壁を越えるべきか、または別な道に行くべきかを客観的に判断できるのもまた、公文の学習で自分が築いてきた「自信」なのだろうと思っています。
ぼくはまだ30歳にもなっていませんが、それでも年を経るにつれていろいろな制約条件が増えてきます。見えざる圧力が増していくというか、自分のなかに焦りが生まれるというか……。同級生たちはどんどん出世していき、たとえば少し前まで飲み会は本郷の居酒屋だったのに、気づいたら六本木の高級ダイニングになっていたりしますからね(笑)。だから、できるだけそうした周囲の圧力が少ないうちに、失敗を恐れずにチャレンジしたほうがいいと思います。やろうかやるまいかで迷っているなら、早いうちにやったほうがいい。明日失敗するより今日失敗したほうが、ダメージは少ないし、回復も早いと思いますから。
ぼくは今、小さな会社の代表をしていますが、誰かひとりでも、「これいいね!」と思ってくれたら、それは初めて職業として成り立つのではないかと思っています。そういう人がいてくれる限りは、今のこの仕事をがんばっていこうと思います。ただ、医療の場合少しむずかしいのは、たとえ患者さんのために必要な技術やCG作品であっても、患者さんが個人としてその経費を負担するには重すぎるところがあります。エンターテインメント作品のように、気に入ったら気軽にDVDを買うというようなものではないですから。
しかし、自分のなかに大きなモチベーションとしてあるのは、誰もが自分の身体の仕組みを「正しく、楽しく」理解できるようになる世界の実現です。今年、公文の生徒さんたちの集まりで講演したときのことです。ぼくの話が終わり休憩時間になったとき、10歳くらいの女の子が走り寄ってきて、こんなことを話してくれました。「わたしは心臓に穴があいているってママから言われてるんだけど、よくわからなかったの。でも、きょうお話を聞いて、どういうことなのかわかりました。ありがとうございました」。急なことでもあり、その子が背負ったものの大きさに驚き、うまく返事ができませんでした。でも、彼女の役に立てたんだな、よかったなとしみじみ思いました。
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