サイエンスとテクノロジーの力で地球規模の課題を解決する
ぼくらの会社リバネス(Leave a Nest)は、「科学と技術をわかりやすく伝え、課題を解決する」がモットーであり仕事です。「何をしている会社なの?」と聞かれることも多いのですが、こう考えてみてください。ふつうの会社には「会社」という「囲い」があり、決められた入口から入社します。でも、ぼくらは「囲い」を作らず、誰でもが見えるところに「課題」を置きます。
すると、「この課題の解決には自分の力を活かせそうだ」と感じた研究者たちが集まってくる。この研究者の集まりがリバネスであり、挑みたくなるような「課題」を設定したりするのがぼくらの仕事です。その課題を解決することが世の中の役に立つので、リバネスは研究者の集団であり、アントレプレナーの集団でもあると思います。
私が関わるほかの会社、日本初の個人向け大規模遺伝子解析サービスのジーンクエスト、コミュニケーションロボットOriHimeのオリィ研究所、次世代風力発電のチャレナジーなども、みんな同じベクトルでのスタートです。世の中にある課題と、そこにつながる科学技術を具体的に抽出、解決に向けて仕組みを設計する。そのプロセスで自然と研究者が集まる。リバネスがこれまで約30のベンチャー企業を立ち上げたり支援したり、200以上のプロジェクトに取り組めているのは、そういう構造だからなんです。
たとえば、ぼくが技術顧問を務める、東証一部に上場したユーグレナというバイオテクノロジーの会社は、藻の一種であるミドリムシの力で地球規模の食糧・エネルギー・環境問題などに取り組んでいます。ミドリムシの光合成を利用しようという計画は20年ほど前にもありましたが、大量培養がむずかしく頓挫しました。でも、「今ならできるかも、やっちゃおう!」と人が集まったのが始まりです。
課題の種類と科学技術を伝える相手や方法によって、リバネスという会社は「ベンチャー立ち上げのコンサルティングの…」「技術移転の…」「理科教育の…」と、いろいろな冠を付けた呼ばれ方をします。でも結局、ぼくらがやっていることは、ひとつ。ぼくたちの大好きなサイエンスとテクノロジーがどう役立つのかを考え、それを必要とするところにわかりやすく届ける。それがリバネスの仕事です。
じつは、リバネスはぼくが大学院生のとき15人の仲間といっしょに立ち上げた、研究者だけのベンチャー企業なんですが、スタートした場所はある公文式教室だったんです。このことは、またあと(後編)でお話ししますね。