スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2020/11/27更新

Vol.065

もり内科クリニック院長
布施医師会(東大阪市)理事
田仲みすず先生  後編

「できること」「得意なこと」に目を向けよう
できないことが増えても、まわりが上手に合いの手を入れる
「お餅つきサポート」で、地域の誰もが笑顔になる

田仲 みすず (たなか みすず)

三重県生まれ。近畿大学医学部卒業後、大阪大学第二内科入局。その後市立吹田市民病院、大学病院を経て学位取得。人間ドック中心のクリニックに勤めた後、石垣島の診療所にて約3年間勤務。その間、高速船で離島への診療も行う。大阪に戻ってからは、急性期医療・慢性期医療の両方に対応したミックス型病院にて働く。その後勤務した介護老人保健施設に「学習療法」を導入。クリニック開業後も「認知症サポート医」として「学習療法」の実践と普及活動を継続。2019年には所属する布施医師会に「脳の健康教室」開講を働きかけ、東大阪市の「一般介護予防事業」として実現。地域のコミュニティづくりにも貢献している。

「身近で何でも気軽に相談できるかかりつけ医」をめざし、内科・小児科のクリニックを運営する田仲みすず先生。さまざまな診療現場を経験する中で、「生きる」上での質の重要性を実感し、訪問診療や往診にも注力する一方、認知症維持・改善のための「学習療法」、認知症予防としての「脳の健康教室」の活用・普及にも精力的に取り組まれています。エネルギーとユーモアにあふれた田仲先生ですが、幼い頃から「人生は修行」と思い続けていたとか。これまでの道のりを振り返っていただきながら、学習療法の導入や脳の健康教室開講に至る経緯や効果、認知症ケアの現場で感じることなどについてうかがいました。

周囲の人が合いの手を入れる「お餅つきサポート」で見守ろう

私は開院10年間で100名ほどの方を看取りました。その経験から、理想と感じる看取りは「まったくふつうに家族が生活している中で息を引き取る」ことです。看取りは生活の一部であり、特別なことではありません。テレビのように「手を握って」という必要もないですし、立ち会わなくても気持ちさえ寄り添っていれば十分だと個人的には考えています。

今、求められる医療はさまざまです。1日でも長生きしたい方、胃ろうなんてとんでもないという方……その方の大切にしているもの、家族との関わり、育ってきた環境、社会的立場、経済状況などいろいろなことで決まってきます。それらを聞き取り、できることを説明した上で、基本的には本人が望んでいることに導くのがかかりつけ医の役割だと思います。

とくに認知症は百人百様です。ご本人のココロに寄り添い、その方がどんなふうに思うのか、自分がその立場だったらどうしてもらいたいのか?を考えて、声掛けなどサポートの仕方をご家族に提案しています。ご家族の対応の仕方が上手にならないとご本人の状態が安定しません。声のトーンを柔らかく、言い回しをセリフとして練習したり、ハンドマッサージをしたり、「自分がされてうれしいこと」をすればよいとアドバイスしています。

もり内科クリニック院長・東大阪市布施医師会理事 田仲みすず先生布施医師会主催「脳の健康教室」にて

今の時代、家族だけの介護では限界があるので、近所の人がグループになって助け合う場ができたらいいなと思っています。例えば喫茶店などで「脳の健康教室」をして、ついでにお茶や食事をする。そんな地域のコミュニティとなる場を作るのが私の夢です。

認知症の方へは例えるとお餅つきのようなサポートで見守ることが理想です。「お餅つきサポート」という言葉は私が名付けました。杵を持ってお餅をつくのを、家族や近所の人がうまいタイミングで合いの手となるサポートを入れ、ついた本人が「自分一人でこんなにおいしいお餅がつけた!」「一人で出来ている!」と感じてもらう、そんな積み重ねが自信へとつながり、いろいろなことに前向きになります。こうしたサポートの重要性を広げていきたいですね。

診療の現場から言えば、認知症の方に対しては、認知機能や画像検査をして診断し、薬を処方する、という対応が一般的です。私は生活の質の改善を目指しているので、ご家族と話し合い、色々な工夫を提案します。例えば道がわからなくなって自宅に戻れなくなるのでは?とご家族が不安なとき、「財布に住所や連絡先を貼っておいて目につくようにすれば?」など、ご家族に具体的にアドバイスしています。すると「そんなふうなことをお医者さんに言ってもらったことがない」と驚かれます。医療における認知症ケアの必要性の浸透は、まだまだだなと感じます。

田仲先生からのメッセージ

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