目指したのは、地域に根ざした「元気をもらえる」クリニック
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私は、42年間地元で診療を続けてきた父からクリニックを引き継ぎ、2011年に新たに開院しました。内科と小児科を診療していますが、患者さんの6割が75歳以上の方です。私が目指すのは、「身近で何でも気軽に相談できるかかりつけ医」。そして「楽しく通えるお医者さん」。クリニックに来たら、元気をもらって帰ってほしいので、自分からそうした空気を醸し出すことが大事かなと思い、いつもテンション高めに診察しています(笑)。
いろいろな現場で診療してきた経験から、「生きるとは」をテーマに「質の高い生活を送るお手伝いをしたい」ということをクリニックのコンセプトにしています。そのため、グループホームでの医療管理も含めて訪問診療や往診にも注力しています。
クリニックで診療するだけでは、患者さんがふだん、どんな生活をしているかは見えてきません。訪問することでその人の生活状況や家族との関わり具合などがひと目でわかり、そこから「どうしたらその人にとって質の高い生活ができるか」のヒントが見えてきます。こう考えるのは、往診をしていた父の姿を間近で見ていたことが影響しているのかもしれません。
クリニックを開院する前の4年間、介護老人保健施設(老健施設)に勤務し、そこで認知症の方、困っているご家族とたくさん出会いました。入所に至るまでみなさん悩み、苦しみ、戸惑って過ごされており、診療所として早い段階から寄り添いたいと思い、開院時から「ものわすれ外来」を行っています。認知症診療に関わる医療機関として信頼され、“ど真ん中”からいろいろと発言したいと思い、地区の医師会活動に理事として参加し、新たに認知症担当部門を設置して頂き、さまざまな活動を続けています。
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その一つに東大阪市の地域ケア会議への参加があります。この会議では2019年に市民向けに、学習療法の共同研究者である東北大学加齢医学研究所の川島隆太先生をお呼びして「超高齢社会を元気に過ごすために~脳を鍛えて生き活きと輝く生活を~」とのタイトルで学習療法についても含めた講演会を開催しました。1,200人も集まり、会場はものすごい熱気で感無量でした。講演会はタイミングよく「脳の健康教室」開講準備の一環にもなり、その場で「脳の健康教室」の受講者(学習者)と教室サポーターを募りました。医師会の温かいサポートもあり、初年度は大盛況で終了。2年目の今年はコロナの影響が大きくなる冬を避け、開講時期を早めて現在進行しているところです。