スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2020/01/10更新

Vol.059 慶應義塾大学医学部
精神・神経科学教室専任講師・医学博士
佐渡充洋先生  前編

「ネガティブな自分」
理解することは「ポジティブな学び」
楽しいことも苦しいことも一生懸命体験しよう

佐渡 充洋 (さど みつひろ)
岡山大学医学部卒、同大学病院麻酔蘇生科で2年間初期研修ののち、1999年より慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室に入局。2005年、ロンドン大学大学院留学を経て2008年より現職。マサチューセッツ大学医学部認定マインドフルネスストレス低減法qualified teacher、オックスフォード大学マインドフルネス認知療法認定コースステップ1終了。監訳書籍に『自分でできるマインドフルネス』『幸せになりたい女性のためのマインドフルネス』(いずれも創元社)ほか。

欧米ではうつ病の再発予防など医学的効果が報告されている「マインドフルネス」。日本ではまだデータが不十分なこの分野で、調査研究に精力的に取り組まれているのが、慶應義塾大学の精神科医、佐渡充洋先生です。マインドフルネスは「瞑想してストレスをなくすこと」と捉えられがちですが、それだけでなく、根本にあるのは「今自分の中で起きていることに気づき続けること」だそうです。それはどういうことなのか、マインドフルネスの考え方、研究や成果のほか、佐渡先生が精神科医になるまでの道のり、マインドフルネスとの出合いなどについてうかがいました。

スポーツ大好き少年だったが
将来の進路に迷い、目標のないまま医学部へ

私は岡山県倉敷市で生まれ育ち、スポーツが大好きな子どもでした。幼稚園の頃から野球を始め、将来の夢はプロ野球選手。広島カープに入りたいと思い、野球に明け暮れる小学生でした。けれども「電車通学が楽しそう」という動機で受験・進学した岡山大学教育学部附属中学には野球部がなく、仕方なくバレーボール部に入部しました。

その後進学した高校にも野球部はなく、男子ソフトボール部に所属。高校三年生の時には国体選手に選ばれたのですが、受験が控えていることを理由に、監督が勝手に断ってしまい結局行けずじまいでした。

私の父はエンジニアでしたが「努力」と「根性」がモットーで、温かくも厳しい人でした。少年野球をしていたときも「プロ野球選手になりたいなら人の3倍努力しなさい」と言われ、チームの練習が終わったあとも、近くの山まで走らされていたほどです。一方母は、そんな父をフォローする感じでしたが、おっちょこちょいで好奇心旺盛。いろんなものごとに興味を持っていて、その部分は私も受け継いでいるかもしれません。

自分の将来については、中学生くらいから「社会の動きや人のモチベーションに関わることに携わりたい」と、漠然と思うようになりました。でも、具体的な仕事としては何も思い浮かびませんでした。大学進学時は悩みました。理系が得意な一方、経済学や社会学にも関心があり、それを先生や親に伝えると、「大学卒業後何するの?」と聞かれます。でも、答えられない。大学を卒業したら何をやればよいのか、さっぱりわかりませんでした。
唯一誰からも何も指摘されなかったのが医学部です。その後に何をするかといえば医者しかありませんから。そんな理由で医学部に入学したものだから、入ってからがとても大変でした。細胞学や体の仕組みにも関心がもてず、苦痛で苦痛で(苦笑)。

部活は医学部の部活ではなく、全学のアメフト部に入っていました。とてもハードな部活でしたが、自分の気持ちに負けてしまったときの挫折感、コミットした先にある大きな達成感など、人間として重要な価値観の多くはこのアメフト部での体験から学ばせてもらいました。

 

関連リンク
慶應義塾大学ストレス研究センター
学習療法センター


 

 

後編のインタビューから

-スポーツでの学びから精神科医へ、マインドフルネスに出合う
-「学び」とは感情や身体感覚が伴う「気づき」
-「コントロールしようとしない」ことを意識し、そのままを受け入れる

 

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