教育の問題は教育の中でだけでは解決できない
![]() 広島大学 教育開発国際協力研究センターでの授業の様子 |
私は広島大学で大学院生に国際教育協力論などを教える一方で、同大教育開発国際協力研究センターのセンター長を務めています。ここでは、教育開発について「研究開発」「戦略政策提言」「知見の発信」「モデル事業形成・実施支援」の4本柱で活動しています。
大きな特徴としては、日本で唯一この分野の学術誌『国際教育協力論集』を、英語版と日本語版で毎年発刊していること、国内外の研究者や専門家人材のネットワークを構築していることです。また、本センターが事務局となり、アフリカ12か国16大学と日本を含むアジア8か国14大学で「教育開発のためのアフリカ・アジア大学間対話(A-A Dialogue)」というネットワークを結び、教育開発についての共同研究もしています。
教育分野の国際協力というと、「学校のない貧しい地域に学校を建てる」といった活動が思い浮かぶかもしれません。たしかに日本の支援はこれまで、そうした個別の問題を扱うプロジェクトが主体で、ひとつの国でほかの援助機関によるものとともに複数のプロジェクトが走っているのが一般的でした。
しかし、たとえば学校が近くになく、学校教育の価値を見出してもらえない保護者が多い地域で、「通学していない子が多い」という側面だけ見てしまうと、「学校を建てよう」「教員の数を増やそう」というように、その地域の問題は個別具体的なわかりやすい課題に置き換わってしまいます。
このように特定の問題を細切れにして支援すると、たしかに学校ができて、先生も養成されるかもしれませんが、それはその地域の根本的な問題解決にはつながりません。「子どもたちがなぜ学校に来ないのか」を考えると、それは社会全体の問題の裏写しになっているからだということがわかります。そこには貧困問題や宗教、社会、文化、言語の問題もあり、それらも含めて教育に対するかかわり方を一緒になって考えないと、長期的にその国の人たちが自分たちの手で解決していく力につながりません。
教育の問題には複雑な要因が絡んでいますし、教育の中でだけでは解決できないことがほとんどです。関係している問題を全体的、包括的に考えなくてはなりません。それが国際協力における世界の潮流となっています。

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