自然が遊び場、いつも「なぜ」と疑問を持っていた
![]() |
ぼくが研究しているオノマトペとは、フランス語で「擬声語」、つまり「擬音語」と「擬態語」の総称です。「擬音語」はものが発する声や音で、たとえば「ニャーと鳴く」「雷がゴロゴロ鳴る」、擬態語は状態や心情を表すもので、「星がキラキラ光る」「ワクワクする」などです。一言でものごとの本質を言い当てたり、秘めた力を引き出すなど、魔法のような力をもっています。
これらを日常生活に取り入れることで、人生をより楽しくしていけるのではないかと、言語学、音声言語情報処理、ヒトの情報処理特性の視点から分析・測定して研究しています。理論だけでなく、たとえばストレッチをするとき、無言よりも「ニャー」と言いながらのほうが伸びるなど、実験をくり返してその効果を検証しています。
ぼくは、小さいころから声を出しながら走るなど、少し変わった子ではありました。声を出して走ると早く走れるんじゃないか、と潜在的に思っていたのかもしれません。喜怒哀楽も激しく、よく笑いよく泣く子でした。今でもうれしいことがあると人より強くそのうれしさを感じるので、「共感力が高い」と言われます。
子どものぼくに対して両親は「あの池でカエルが泣いているね」「あの木にカブトムシがいるみたいね」と、ぼくの興味を引き、行動を促す言葉かけをよくしてくれました。そう言われるとそこへ行きたくてたまらなくなり、1日中飽きずにカエルや昆虫を観察していました。すると、「このカエルはなんというカエルかな?」「トンボはなぜ飛べるのかな?」と、いろんな疑問が生まれてきます。そしてその疑問を自分で図書館で調べるようになりました。
仲間とザリガニ釣りをしたり、姉と一緒に花を観察したり、当時をオノマトペで表現すれば、ルンルン、ワクワク、ドキドキ、ハラハラな毎日。やはり自然と戯れると、思わず「ワーッ!」と感動の声が出ます。声が出れば出るほど、気づきがあり、得る物が大きくなるのだと思います。
家にじっとしていられず毎日野山を駆け回っていたぼくですが、家の中で唯一集中できたのがマンガです。読むのも描くのも大好きでした。マンガには「ドン」とか「バーン」など、オノマトペが多用されています。分厚いマンガをあっという間に読めたのは、オノマトペがあってリズムよくページをめくれて、臨場感たっぷりで面白かったからだと思います。