新聞記者の父の転勤に伴い
転居をくり返した子ども時代
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私は教育や子育て、女性などを主なテーマに執筆活動をしていますが、英王室についても長年追っています。夫の赴任に伴って英国に住んでいた時に、ダイアナ妃が事故で亡くなられました。ちょうど新聞社から王室に関する書籍の執筆を依頼されて、ダイアナ妃を追っていたところでしたので、ショックを受けました。それ以上に、最愛の母を突然失った王子たちのその後が心配でなりませんでした。そこからロイヤルファミリーに関心を持つようになり、取材を続けています。王室は英国民の理想とする姿であり、王室を見ていると、英国人の価値観や伝統文化などがよくわかります。これからは、7月に誕生した英国史上二人目の女性首相、テリーザ・メイ氏にも注目していきたいです。
ただ、私の本来のテーマは教育です。育児誌で長く連載をしていたときに公文の先生を取材したことをきっかけに、世界49の国と地域に広がるKUMONに強く関心を持つようになりました。それから国内外の教室をたびたび訪問し、先生方や生徒にインタビューをしてきました。
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私は米国で子育てをした時期がありましたが、そこで「個」を大事にする教育に感銘を受けました。KUMONが海外で圧倒的な支持を得ているのは、個人別の学習法や指導者の存在などが理由で、欧米の教育先進国と共通点を持っています。
また、最近の日本の教育問題では、とくに子どもの貧困が気になります。学校給食がない夏休み明け、子どもがやせ細って登校するといった話を聞くと、心が痛みます。自分に何ができるだろうかと問いかけているところです。
私は新聞記者の父と専業主婦の母の間に、東京で生まれました。本が好きで、本さえあれば機嫌が良く、文章を書くのも得意。作文コンクールで表彰されたこともあります。小中学生の頃は、父の転勤に伴い、山形、福島、広島、そしてまた東京と、3~4年ずつくらいで転々としました。これは子どもにとって簡単なことではありません。まず言葉が違います。転校するたびにいじめを避けるためにも、必死でその土地の言葉(方言)に慣れようとしました。しかし慣れたと思えばまた転校なので、せっかくできた友達とも別れなければならず、さびしい思いもしました。
また、学習面でも地方により進度が違い、そのことで苦労もしました。転校先の中学校では進みが早くて、前の学校ではまだ学んでいなかった箇所がすでに修了しており、自分で勉強しなくてはならなかった。でも今思えば、この頃の各地での暮らしは宝物。そこでのさまざまな経験は、私の糧となっています。自分の経験を踏まえて言えば、子どもは周囲が思っているより強くたくましい。逆境は子どもを鍛えるという一面も持っているのです。