海外では誰もが小さな親善大使になる
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私が小さい頃から父にずっと言われていたことがあります。それは「どんな子どもでも、日本の親善大使であることを忘れてはいけない」ということです。6歳のときに住んでいたスコットランドをはじめとして、私たち家族が行くところは、まだ日本人に会ったことがない人が多いところでした。そういう場所で、「日本人って変わってるな、と思われてもいいの?」と言われていました。今も、自分が出会う外国の方には、日本の良いところを伝え、ファンになってほしいと思いながら交流をしています。
両親は、今思うとだいぶユニークな子育てをしていたかもしれません。たとえば、小さい頃「学校に行きたくない」と私が言うと、「じゃあお母さんも習い事を休もうかな」と言って、ふたりで遊びに行ったこともありました。
大人になってからこのときのことを聞いてみたら、母は「子どもは子どもの世界で頑張っているんだから、たまにはそんな日があっていいんじゃないの?」と言っていました。なお、両親はお稽古ごとでも何でも、何かを決める時には「何がしたい?」「どうしたい?」と、子どもの私にも必ず意見を聞いて、尊重してくれました。
大学院進学が一転、メディアの道へ
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ドイツで高校時代を過ごしたあと、自分のアイデンティティである日本のことを知りたいと思い、進学先は日本の大学を選んで、比較文学を専攻しました。当時、私は大学卒業後も大学院で文学の勉強をしようと決めていて、周りにもそう話していました。しかしある日突然、「実際に人の気持ちや経験に触れずに、文学を本当に読み込めるのだろうか」と思ってしまったんです。
「このままではいけない、さまざまな人の人生にたくさん触れることができる職業って何だろう」と考えたとき、メディア関係の道がよいのではと思い浮かびました。アナウンサーになればきっと、取材やインタビューを通じてさまざまな人と出会えるだろうと思ったのです。運よく民放局の最終面接まで行ったのですが、その面接で自分のやりたいことを話したら、「それはアナウンサーではなく記者が向いているよ」と言われました……。
そこで方向転換をして、記者を目指すことに。NHKの就職面接で取材記者の経験がある人事の方に話を聞く機会を得ることができました。そこで初めて「いろんな人の人生に触れることができる仕事はここにある」と感じることができ、縁がありNHKの記者としての採用が決まりました。その後、アナウンサー業に携わるチャンスをいただき、「海外の人に日本のことを正しく伝えたい」という思いは、いま国際放送を通じて叶えられています。
心を開くことで、世界はもっと広がる
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私は「自分にやって来たチャンスは、逃さずに受け取って精一杯実行する」と心に決めています。私にお話が来るということは、この人ならできるんじゃないかと期待していただけているということだと思うんです。自分では気がついていないけれど、その相手は私に何かを見出してくれているのだろうと。だからこそ、その期待に応えられるように精一杯努力をします。すると不思議なことに、また次のチャンスへと必ずつながっていきます。
どんなに回り道をしても、私は、自分の人生に対してだったら、欲張ってもいいと思っています。たとえ立ち止まっても、色々なことにチャレンジをしてみることが将来、どこかで必ず糧になるから。少しずつでも前に進んでさえいれば、やがて本当にやりたいことへの道につながると信じています。
今の私の夢は、自分の学校を持つことです。とても大きな夢ですが、口に出していたらいつか叶うと思っています。その学校では、日本の文化や思いやりの心を知り、自分の考えを伝えることができる、世界に羽ばたいて行ってくれるようなチャレンジ精神にあふれた子どもたちを育てたいです。
そして子どもたちに一番伝えたいことは、私がいつも身につけているブレスレットに刻んである言葉です。 “The world becomes bigger when you open your heart.”「あなたが心を開くことで、世界はもっと広がる」。
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