文章を書きたい気持ちがウズウズしていた
専業主婦時代
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就職先では広報部に配属され、すぐに社内報の編集長を任されました。全国各地にある販売会社の社長さんを訪ねてインタビューしたり、「編集長みちのく一人旅」なんて企画を立てて出張したり。企画から取材、執筆まですべて自分で行い、充実していました。
24歳で結婚して、寿退職。時代ですね(笑)。その後妊娠、出産して育児に専念したのですが、どこか物足りない気がしていました。
そのうちに、子どもが昼寝をしている時間に、日々の生活で思うことを文章にして新聞の投書欄に投稿するようになりました。育児で気づいたことや子どもの面白さなど、ネタは次々に湧いてくる。毎日のように書いて送り、よく掲載していただきました。そのうちにそれでは飽き足らず、いろんな雑誌に投稿するようになりました。
ある雑誌で、「もらってうれしかったプレゼント」をテーマに作品を募集していた時には、大学院への進学を勧めてくれた大学の教授から、出産祝いにいただいたブラウスの話を書きました。こんな内容です。
――出産祝いというと、ふつうはベビー用の服やおもちゃなどが多いけれども、その教授は母であるわたしに仕立てがかっちりしたブラウスを贈ってくれた。これは、「たとえ育児中でも、あなた自身を伸ばす努力を続けなさい、という励ましのメッセージだ」と受け取り、子どもの成長と一緒に自分も成長できるよう努めたいと思った、というようなものでした。このエッセーで賞をいただき表彰されました。
そうしているうちに、ある雑誌の編集部から「取材して記事を書いてみませんか?」と声をかけていただき、育児に関する記事を書くようになりました。これがフリーライターとしての出発点です。でも子どももまだ小さかったので、母に家に来てもらったり、取材日を夫が休みの土曜日にしてもらったり。周囲に配慮していただけたのは幸運でした。
その後、順調に仕事が増えてきたので、下の子は保育園に預けて働くようになりました。ところが当時は、周囲から「保育園に預けられるなんて、子どもがかわいそう」と言われたりして……。今ではとても考えられないですね。