スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2016/02/19更新

Vol.029

昔話研究者 小澤俊夫先生  前編

子どもには自ら育つ力がある
昔話に込められたメッセージ
を傾けてみよう

小澤 俊夫 (おざわ としお)

1930年中国・長春生まれ。口承文芸学者。東北薬科大学助教授を経て、日本女子大学教授、独マールブルク大学客員教授、筑波大学副学長、白百合女子大学教授を歴任。現在は、筑波大学名誉教授。国際口承文芸学会副会長及び日本口承文芸学会会長も務めた。1992年より「昔ばなし大学」を開講、1998年には季刊誌『子どもと昔話』を刊行。おもな著書は『昔話の語法』(福音館書店)、『グリム童話を読む』(岩波書店)、絵本「子どもとよむ日本の昔ばなし」シリーズ全30巻(くもん出版)ほか。「日本昔ばなし」シリーズの第5巻『うらしまたろう』(くもん出版)を2016年4月に刊行予定。

グリム童話の研究に始まり、日本の昔話研究の第一人者として、精力的に活動されている小澤俊夫先生。長年大学で教鞭を執られた後、若手研究者の育成や「昔ばなし大学」の開講を通じ、昔話の本来の姿を伝えています。日本の昔話を研究するきっかけとなった柳田國男氏との出会いや、ご両親のこと、そして昔話が教えてくれる大切なメッセージなどについてお話しいただきました。

「涙を知るのはいいことだ」
敗戦を迎えて父が言った言葉は忘れられない

昔話研究者 小澤俊夫先生

ぼくは満州事変が起こる1年前、昭和5年に満州で生まれ、小学5年生までを北京で過ごしました。とにかくわんぱくで、悪さばかりしていましたね。当時暮らしていた中国の家は、隣家と屋根がつながっていて、屋根から屋根へひょいと伝い歩けるので、屋根伝いにどこまでも行ったりして。

父は満州で歯科医をしていましたが、その後政治団体に関わるようになります。昭和15年頃になると、父は「この戦争は勝てない」と言い出します。政治評論集を作り、軍部批判をしていたので、軍部からは睨まれ、自宅には毎日憲兵が来て監視されていました。

翌年には父以外の家族が日本へ戻り、その2年後には父も日本へ。東京の立川に住みましたが、そこにも今度は特高警察が毎日来る。それでも父は国のことを憂いて平気で軍部批判をするので、いつ捕まるかとヒヤヒヤする日々を過ごしました。

ところが結局そのまま終戦を迎えましたが、その後父が亡くなったとき、特高として監視していた方から、ていねいなお悔やみの手紙をいただいたのには驚きました。そうした方たちも、父が憂国をもって信念を貫く姿を、じつは慕っていたのかもしれません。そしてぼくも、こうした父の姿に大きな影響を受けたのは言うまでもありません。

父が敗戦直後には、「この敗戦は日本にとっていいことだ。日本は日清戦争以来、負けていないから涙を忘れてしまった。これで涙を知るのはいいことだ」と言ったのも忘れられません。そして、ぼくら子どもたちには、「お前たち、好きなことをやれ」と言いました。

母はクリスチャンで、ぼくらも教会の日曜学校に通い、賛美歌を習いました。それが我が家の音楽との付き合いの始まりでした。すぐ下の弟(=小澤征爾氏)は指揮者になりましたが、ぼくも音楽が大好きになり、コーラスは今も現役で続けています。

小澤先生が昔話の研究を始めたきっかけとは?

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