英語教育の大きな転換期だからこそ その課題と解決策を見出す

2011年度から、小学校では5・6年生において、「外国語活動」として英語が必修になっていますが、これが正式な教科に格上げされることが検討されるなど、いまはちょうど日本の英語教育が大きく変わろうとしている時期です。そうしたなか、わたしは英語教育の具体的な課題とその解決策を明らかにするための調査や研究活動も行っており、大学での講義はもちろん、文部科学省が主催する委員会や各種会議にも関わっています。
大学では学部と大学院で講義を受けもっています。赤ちゃんがどうやって言葉を学ぶかという言語習得から、ヒトがどうやって言葉を使うかの心理的な側面での言葉の使い方を研究する「心理言語学」のほか、バイリンガル教育、外国語教授法などを教えています。
調査や研究の一例をあげると、小学校での英語の実質的な指導者となる、約1,800人のALT(外国語指導助手)と約6,000人の補助教員の人たちを対象とした意識調査があります。小学生の英語が教科化されるとなると、きちんと教えることができる先生が必要ですが、現状では専門の先生が配置されている小学校はわずか6%ほど。ALTや民間組織で資格を取得した外部の人たちが、補助教員として手伝わないとやっていけない状況ですが、実際に英語をどう教えているか。また、教えるにあたりどんな課題があるかなど、それぞれの立場からヒアリングしています。
この調査を通じて、たくさんの意見が寄せられています。とくに日本人の補助教員の方たちは、文字通り「補助」なのですが、学校によってはメインで指導をしたりしています。待遇も時給あつかいだったりボランティアだったりとさまざま。学校や授業内容について言いたいことはたくさんあるようです。そうした意見だけでも何百ページにもなり、小学校の英語教育だけでも、まだまだ課題があるのが実情です。そうした課題を解決するために、いくつもの改革が行われようとしています。それらの改革を見届け、またそのために自分ができることをしっかりやっていきたい、と気を引き締めているところです。