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KUMONグループの活動  2014/02/12更新

Vol.023 学習療法-誕生秘話  

「学習療法」誕生秘話
高齢者介護実践者と脳科学・心理学研究者チームとの出会いと大きな発見

高齢者の認知症予防と改善のため、全国に広まりつつある学習療法。「少子高齢化だから、高齢者向けの教材を開発したのですか?」というご質問をいただくことも増えてきました。しかし実はそうではなく、意外な出会いと大きな発見によって誕生したのです。

「子どもたちの脳をより健全に発達させるためには?」を追究する研究チームの結成


学習療法 計算教材C2−13

「意外な出会い」は大きく分けて2段階ありました。まず1つめの出会いは、東北大学の川島隆太教授(脳科学者)とKUMONとの出会い。1997年のことです。ある雑誌に川島先生の「ファミコンするより公文しろ!」というインタビュー記事が掲載され、この記事を見たKUMONの社員が川島先生にコンタクトをとったのです。このKUMONの社員は「公文式の学習には基礎学力がしっかりつくだけでなく、子どもたちの成長にプラスになる何かがあるはず」とつねづね考えていて、記事中の「単純計算が脳をたくさん働かせる」というくだりに強く引かれたのでした。

この出会いのあと、川島先生とKUMONとのやりとりが何度もあり、1998年に川島先生を含む4人の大学教授(脳科学・認知科学・教育心理学・発達心理学)とKUMONによる、文理融合・産学連携の研究チームが結成されました。主たる研究テーマは「子どもたちの脳をより健全に発達させるためには?」でした。しかし、子どもたちを対象にした研究は倫理的な問題もあり、すぐに着手するのはむずかしいというカベにつき当たってしまいました。

一方、川島先生たちは公文式を学習する障害のある子たちの事例にも強い興味をもっていたため、チーム結成からしばらくして、この子たちを対象に調査研究をすることになりました。結果、読み書き計算の学習が認知機能発達に良い効果があることがわかったのです。そして、この調査研究もふまえ、子どもたちを対象とした研究に着手する前に、当時は「痴呆症」と呼ばれていた認知症高齢者のケアに、読み書き計算をとり入れ、認知機能向上の試みと検証を行うことになりました。2001年のことでした。

※東北大学・川島隆太教授は、『KUMON now !』のスペシャルインタビューVol. 006にご登場いただいています。ぜひご覧ください。

「脳に刺激を与えなければ!」という高齢者介護実践者の思い


『学習療法の秘密』
(くもん出版 2007年4月刊)
学習療法の成り立ち、その科学的な論証、そして高齢者がどう変化したかを詳細につづった豊富な事例も記されています。学習療法を知っていただく最適な一冊

とはいえ、「認知症高齢者に読み書き計算をしてもらうことによって認知機能を改善する」という試みは、2001年当時としては常識外れもはなはだしいことでした。「認知症になれば、脳の機能低下をゆっくりにすることはできても、進行は止められない」というのが医学的にも“常識”だったからです。そのため、研究チームの試みを受け入れてくれる高齢者介護施設はなかなか見つかりませんでした。

そんなとき、2つめの出会いがありました。福岡県大川市にある特別養護老人ホーム永寿園の山崎律美園長と研究チームとの出会いです。山崎園長は永寿園に赴任する前、佐賀県の福祉事務所でケースワーカーとして勤務したあと、同県の知的障害児施設で児童指導員として働いた経験をおもちです。この知的障害児施設で働いていたとき、施設導入という形で、公文式を施設の子どもたちに学習させ、子どもたちの確かな変化と成長をつぶさに見てきていました。

その後、1992年に永寿園に赴任しますが、入所されている高齢者(ほとんどが認知症)の日々の生活を見て、「脳に刺激を与えなければ認知症は進む」と直感的に思い、すぐに公文式が思い浮かんだといいます。しかし、施設のスタッフは毎日たくさんの仕事に追われ、なかなか「入所者に公文式を」とは強く言えず、楽しみの一つとして、学ぶ喜びを知ることができる入所者を対象に少人数で公文式学習がスタートしました。

少人数でスタートしたとはいえ、確実な手ごたえを感じていた山崎園長は「なんとか園として公文式学習をして、入所者全員の脳に刺激を…」という思いを強くしていきました。そんな状態が10年近く続いたころ、KUMONが仲介役となって、山崎園長と川島先生が福岡市で出会うことになりました。会うと同時に話は盛り上がり、2001年9月、永寿園をフィールドとして、47人の高齢者に読み書き計算をしてもらい、その学習を通して高齢者と支援者(施設スタッフ)とがコミュニケーションするという試みがスタートしました。

当時の認知症の“常識”を覆す、信じられないような効果


ドキュメンタリー映画『僕がジョンと呼ばれるまで』
2014年3月公開、上映会場は関連リンクでご参照ください

初めのうち、醒めた感じで高齢者に対応していた永寿園のスタッフたちでしたが、1~2ヵ月もすると驚きの表情に変わっていったといいます。それは、こんな光景を目の当たりにしたからです。頬を紅潮させ嬉々としてプリントに鉛筆を走らせる姿、大きなマルと100点をもらったときの得意げな表情、自分が発したほめた言葉でこれまで見たことがないような笑顔を見せてくれる。

その光景は高齢者自身の変化となって表れてきました。無表情だった方が笑顔を見せるようになる。失語症といわれていた方の口からポツポツと言葉が出てくる。車イスにたよりがちだった方が自分で歩こうとする。なかには、尿意がもどり、やがてオムツがとれてしまった方も出てきました。「認知症になったら、あとはただ進行するだけ」という、当時の常識を覆す、にわかには信じられない効果であり、「認知症は回復する可能性がある」という大きな発見でした。このことは少しずつですが外部に伝わり、NHKスペシャルでも「脳はよみがえるか 福岡・『学習療法』の挑戦」(2007年2月オンエア)として特集されました。

永寿園のあと、仙台市の施設でも同様の試みが行われ、教材開発や高齢者(学習者)と学習支援者のコミュニケーションの方法などにも改良を加え、2003年に「学習療法」が誕生し、現在に至っています。今、学習療法をしていただいている高齢者は全国で約1万7千人(脳の健康教室含む)になり、アメリカの高齢者施設でも学習療法が実践されています。

※学習療法はアメリカの高齢者施設でも導入され、その実践がドキュメンタリー映画『僕がジョンと呼ばれるまで』(制作:仙台放送)になりました。2014年3月より、一般劇場公開されます。(下記、関連リンクからどうぞ)

川島先生とKUMON、山崎園長と川島先生、それぞれの出会いが偶然だったのか必然だったのかは別として、「学習療法」を通して、KUMONは高齢化社会と高齢者介護をサポートする一翼を担って活動していきたいと考えています。

関連リンク
学習療法センター
学習療法の記録がドキュメンタリー映画になりました脳科学者・川島隆太先生(前編)|KUMON now! スペシャルインタビュー

bg_bnr_01 認知症の改善と予防で高齢社会に貢献する。
学習療法・脳の健康教室
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