OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2022/05/20更新

Vol.088

絵本作家
きもとももこさん  後編

人にはそれぞれ“すわる場所”がある
やりたいことを見つけて続けていけば
きっとそこへたどり着ける

きもと ももこ (きもと ももこ)

東京都生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。主な作品に『うずらちゃんのかくれんぼ』『うずらちゃんのたからもの』『ピーのおはなし』『かえるくんのおさんぽ』(いずれも福音館書店)など。

鮮やかな色彩、丸みを帯びたかわいらしいタッチ、ほのぼのするストーリー。大人も魅了する作品をつくり続けている絵本作家のきもとももこさん。デビュー作の『うずらちゃんのかくれんぼ』は、2004年に皇太子(当時)ご一家が公開したホームビデオに登場した作品として知られています。学生時代から絵を描く仕事をしたいという希望を持ち、会社勤めをしながらイラストを描き続け、縁に恵まれ絵本が完成。とはいえ、その道のりは平坦ではありませんでした。あきらめずに続けられたのは「絵を描くのが好き」という強い思いと、公文式で得た「続けていれば成果は出る」という確信があったからだそうです。

自由な作品づくりを奨励してくれた恩師との出会い
卒業制作の作品が「原弘賞」に

きもとももこさん

「女が大学行ってどうするんだ」という父を、「学費が安い国立だから」と説き伏せて、東京藝術大学を受けましたが、不合格。でもあきらめきれず、「浪人させてほしい」と親に伝えました。難色を示していた父でしたが、私が相当がんばっている姿を見ていたからか最後には了承してくれ、私はもう1年間美大受験の予備校に通いました。

そうして1年後武蔵野美術大学視覚デザイン学科に合格し、進学しました。大学では、おもしろいパッケージを考えるなど、自由にできると期待していたのですが、入学してみたら文字のデザインや私には興味のない授業ばかり。デザイン科なのでそれが当たり前なのですが、私は型にはまったことをやるのが苦手なので、せっかく入学した大学をやめようかと悩みました。

転機が訪れたのは、3年生のときです。選択授業が始まり、私はあえて学生数が少ない、本づくりをする「エディトリアル」を選び、そこで恩師といえる先生と出会いました。もともと少人数なのに出席しない学生が多く、学生は私だけというときも時々ありました。授業とは無関係の、先生のこれまでの歩みや人生談を聞くのが楽しみでしたし、型にはめない自由な作品づくりを奨励してくれたのもうれしくて、学生生活がとても充実するようになりました。

卒業制作では、空想上のシュールな生き物をモチーフにした画集をつくりました。表紙を樹脂で立体的につくって、中身をジャバラ式にしたちょっと独特な作品です。その作品は、かつて武蔵野美術大学で名誉教授を務めグラフィック・デザイナーとして活躍された原弘さんの名を冠した「原弘賞」をいただきました。

ちなみに、「うずらちゃん」などは、かわいらしいとよく言われますが、もともと私の好みは少しシュールな絵で、画家でいえば、ヒエロニムス・ボスやアンリ・ルソー、サルバドール・ダリなどです。私は彼らの作品に影響を受け、学生時代はシュールな絵をよく描いていました。

卒業後は、将来独立することを視野に、書籍のデザインをしている個人事務所に勤めましたが、性に合わず、半年で退職。
その後、やっぱりイラストの仕事をしたいという思いもあり、つてをたどって仕事を探しました。自分の道を懸命に模索していたころ、ある人から「あなたの絵はイラストよりも絵本向きでは?」と言われたことが転機になりました。自分でも「そうかもしれない」と思い、すぐに図書館に行き、絵本出版社の住所と電話番号を調べ、次々と電話して作品をつくって持ち込んだのです。6~7社目が、私のデビュー作となる『うずらちゃんのかくれんぼ』を出版してくださった福音館書店でした。

でも、絵本を作るのにはとても時間がかかりますので、生活が成り立たなくなり、大学教授の紹介で出版社に契約社員として入社し、デザインや装丁補助などをしながら絵本の制作を続けました。

『うずらちゃんのかくれんぼ』ができるまで

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