大学時代はミュージカル三昧
「やりたいこと」が明確に
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高3で演劇部を引退後、大学受験へシフトし、早稲田大学基幹理工学部へ進学しました。大学では2年次から数学科に進みました。そこで学んでいたのは「純粋数学」というもので、ごく簡単にいえば「数字の本質を極める」、理路整然とした学問です。今思うと、「ことば」とは分野が違いますが、どちらも「ひとつひとつをはっきりさせる」という共通項があるように思います。そうしたものに惹かれるタイプなのかもしれません。
大学では、ミュージカルのエンターテイメント性に引かれていたこともあり、ミュージカルサークルに入りました。すると演劇への情熱も再燃し、サークル活動に没頭するようになります。そこでは主に役者として活動していました。中高時代と異なり、大学のサークルはお客様からお金をいただいて上演したり、海外のライセンス作品を手がけたりと本格的な活動です。サークルには他大学の学生もいたので、世界も広がり刺激に満ちていましたね。
就職するか進学して研究するかを決めなければならない大学4年の夏に、劇団四季のオーディションを受けました。理系の勉強をしていたため、よく経歴について不思議がられますが、ミュージカルサークルに入ったことで自分の「やりたいこと」「やりたかったこと」が再燃したのが、進路に影響を与えたと思います。同級生が就職活動をする中、自分の将来を考えたとき、「演劇の道に進みたい。その根幹にあるのは劇団四季の舞台だ」という強い思いが自分の中にあることを自覚しました。
けれども両親には「劇団四季を目指したい」とは、なかなか言い出せませんでした。あるとき思いきって伝えたら、父は二つ返事で「いいんじゃない」と言ってくれました。私が公文国際学園の頃からずっと演劇に没頭している様子を見ていてくれたので、薄々予感していたのかもしれません。母も反対することなく「いいよ」と受け入れてくれました。実は母自身、芸術学校に進みたかったのを親に止められた過去があったようで、母から「あなたはやりたいようにやってほしい」と言われました。