Unlocking the potential within you ―― 学び続ける人のそばに

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Vol.103 2024.05.31

プロバスケットボール選手兼通訳 冨岡大地さん

<後編>

「努力」を見ていてくれる人は必ずいる
「自分にできること」を探して
あきらめずに続けていこう

プロバスケットボール選手 兼 通訳

冨岡 大地 (とみおか だいち)

1995年広島県生まれ。広陵高等学校卒業後、広島経済大学へ進学。大学3年時、広島に誕生したプロバスケットボールチームで、大学に通いながら活動。広島ライトニング、愛媛オレンジバイキングス、東京サンレーヴス、金沢武士団を経て、2022年から新潟アルビレックスBBに所属。

目にも止まらぬ高速ドライブで、コートの中を軽やかに走り抜ける冨岡大地さん。プロバスケットボールチームの新潟アルビレックスBBで選手兼通訳として活躍している冨岡選手が、「バスケットボール選手になる」という子どものときからの夢を見事に叶えることができたのは、公文式学習の中で得た「目標達成のためには段階を踏んでいくことが大事」という考え方があったからとのこと。
選手と通訳という“二刀流”までの道のりや、夢を実現するためのヒントをうかがいました。

目次

プロのバスケ選手になるために
自分流で英語を磨く

英語を学ぼうと思ったのは、バスケットボールの最高峰リーグであるNBAの試合を見て、「バスケ選手といえばアメリカ。アメリカなら英語がしゃべれるようになりたいな」と漠然と考えたことが始まりです。そこから地道に勉強してはいたのですが、本気で力を入れるようになったのは高校2年から3年になるときの春休み。アメリカに1ヵ月ほど滞在したことがきっかけでした。

このアメリカ滞在は、語学学習ではなくて、バスケをするためでした。知人からAAU(アマチュア アスレッチク ユニオン=アメリカでメジャーな高校生のリーグ戦)へ参加してみないかと声をかけていただいたんです。参加が決まって、渡米前にかなり英語の勉強をしていったのに、コートでもホームステイ先でも全然聞き取れない。これには落ち込みましたね。

それで、帰国後に猛勉強しました。自分の場合は「バスケで英語を使う」ことが目標だったので、それに近いシチュエーションをつくるのが一番だと考えました。広島の学校で教えているALTの先生たちが、夜に集まってバスケをしていると聞いたので、そこに入れてもらったんです。その環境なら、絶対に英語を使わざるを得ませんよね。「英会話」になると気持ち的に負担になりそうでしたが、バスケであれば堂々とできるので、コミュニケーションをとりやすいと考えました。

ほかにも、好きな英語のドラマを見つけて、最初は日本語の字幕で内容を理解して、それから英語だけで理解できるようになるまで、何回も視聴したりしていました。もっと効率的な勉強法があったかもしれませんが、自分にとっては「身近なところに英語を置く」ことができたのはよかったと思います。

最近はスマホの通訳機能の性能も上がってきているようですね。英語を学ばなくても便利なツールを使えばいいのでは、と考える人もいるかもしれません。でもこのバスケの練習や試合という現場では、それはムリです。では、プレーを離れたところでコミュニケーションをとる場合では、どうなのでしょうか。

以前、韓国籍の選手と自動翻訳機を介してやりとりしたことがあります。最低限のコミュニケーションはできますが、深い話は難しいと感じました。そのときのことを考えると、英語だけではなくて、“相手が使う言葉”を自分も使うことができるかどうかで、人間関係の深さが変わるのではないかと思います。だからやっぱり語学はできた方がいい。ツールを使うのもいいと思いますが、ちゃんとコミュニケーションを取ろうと思うと、限界があるかもしれません。

ただ、通訳を介さなくても通じるときもあります。特に「不機嫌そう」「うれしそう」といった感情は、言葉ではなくても伝わります。だからこそ、しっかり相手と向き合うことが大事だと思っています。

「段階を踏んで考える」
公文式の考えが目標達成に役立つ

自分が小さい頃からの夢を実現できたのは、運やタイミングもあると思いますが、それ以上に家族をはじめとした、周囲の人たちに助けられてきたからこそだと思っています。

特に、地元の広島でバスケを教えてもらっていたコーチの支えは大きくて、今でもものすごく感謝しています。ほかにも自分のまわりには「プロになる」という子どもの夢を応援してくれる大人ばかりで、その夢を否定する大人が周囲にいなかったのも大きいですね。

子どもたちにバスケを教える機会がよくあるのですが、そこで「夢を叶えるにはどうしたらいいでしょうか」と必ず聞かれます。そのときは、自分の経験を踏まえてこう答えます。
「自分の力だけでは夢を叶えることはできないから、周りの人の力に助けてもらうことが大切だよ。助けてもらおうと思ったら、自分が一生懸命頑張っている姿を見せることが絶対条件。適当にやっている人を助けようと思う人はいないから、『自分はこうなりたい』と伝えながら、自分ができる目の前のことを一生懸命やろうね」と。

そんなふうに周囲の人に恵まれた一方で、自分が心がけていたことを振り返ってみると、何かを達成するときに、いつも「こうすればこうなる」と順番を考えて取り組むんでいたことがよかったのかもしれません。「バスケをやりたい。だからあの高校に入りたい。それにはこうすればいい」とか「バスケを続けたい。だから英語ができるようになりたい」というように。

そう考えるようになったのは公文式で身につけた力が大きいと思います。パズルも算数も、「これをこうやったら解ける」と、法則を元に順序立てて解いていきますよね。それを公文の教室で積み重ねていたことで、こうした思考になれたのだと思います。

もうひとつ心がけてきたのは「自分にできることを探す」こと。自分はバスケ選手としては背が低いのですが、身長を自分で伸ばすのは難しい。そうであれば、そこで戦うのではなく、自分ができること―― 英語でコミュニケーションがとれる、小さいから早く走れる、背の高い選手では見えないところを見るなど、他の人ではできないことを探して、それを続けるというようなことです。

とても簡単なことでも、「続ける」ことは難しいですよね。だからこそ、それを続けられる人は、その人にしかできない仕事に巡り会うことができて、大事にされるのではないかと思います。

「子どもでいる時間」は短い
休憩しながら楽しく取り組もう

プロバスケの選手になるという夢を叶えた今は「自分がベストだと思うところまでバスケのキャリアを続けたい」という気持ちが大きいです。とはいえ、年齢を重ねれば、いずれ競技を離れなくてはならないときが来るでしょう。そうなったときにどうするか。スポーツの通訳はとても奥が深くて楽しい職業だと思いますが、今はそれよりも、子どもたちにバスケを教えたいという気持ちの方が大きいです。自分が子ども時代に教えてもらっていたコーチからは、「大きくなったら次の人を育ててあげるといいよ」と言われたことも心に残っています。

多くの子どもたちは今、勉強など、目の前のやらなきゃいけないことに取り組んでいると思います。まずはその目の前のこと、「今の自分にできること」をしっかり頑張ってほしいですね。そうやって努力を続けていたら、助けてくれる人、応援してくれる人がたくさん現れるはずです。

「やりたいことをやるには、やりたくないこともやらなくてはいけないんだよ」という父から言われた言葉を紹介しましたが、「やりたくないこと」を続けるのは本当にキツイ。「やりたくないこと」を続けた先で「やりたいこと」へとつなぐことができるかもしれませんが、最初から「やりたいこと」だけをやれるのは、ほんのひと握りの人です。

自分は早い段階でバスケに出会って、それが「やりたいこと」になりましたが、みなさんは今取り組んでいることの途中で別のことをしてみたり、複数のことを同時進行で進めたりするのもアリだと思います。それに「やりたいこと」ができるように環境を変えることができればいいですが、それは自分の意志だけでは難しいこともあります。だからこそ、いろんな人に相談して、チャンスを得られたら挑戦する。やりたいことが見つかったら、あきらめずに続けていく。そうしたことが大事かなと思います。

もちろん頑張り過ぎる必要もなくて、「しんどいな」と感じたら一旦休んでもいいですし、休憩しているときに新しいことが見つかることもあります。自分の場合、しんどいときは、バスケが好きな気持ちを思い出して、無心でシュートをしたりしてリフレッシュしています。子どものときの時間というのはすぐに終わってしまうので、自分のペースで楽しく過ごすのが一番だと思います。

そして子どもを見守る保護者の方には、そうやって自分のペースで休憩しながら楽しく頑張っているお子さんを温かく見守っていただきながら、必要に応じて軌道修正してあげて欲しいですね。私の両親は、自分が好きなことを好きなようにさせてくれました。いまでも「どこのチームにいてもいい。一番のファンでいるから」と言ってくれて、住んでいる広島からどこにでも応援に駆けつけてきてくれます。そんな両親の声援に応えられるよう、これからも二刀流で頑張っていきたいと思います。

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前編のインタビューから

-活躍の場が多い通訳という仕事
-「相手の目を見て話す・聞く」
-楽しくてどんどん進んだ公文式

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