OB・OGインタビュー
Catch the Dream - 夢をかなえる力

2021/07/30更新

Vol.079

常葉大学造形学部
講師 村井貴さん  後編

本当の学びは“外”にある
教科書ネットから飛び出して
外の景色を見に行こう

村井 貴 (むらい たかし)

岐阜県高山市出身。大学でフランス文学を学んだ後、ウェブデザイナーとして複数の企業に勤める。会社員生活を送りながら、産業技術大学院大学にて創造技術修士を取得。その後、北海道大学CoSTEPに特任助教として着任し、サイエンスカフェの企画や大学広報に取り組み、2020年に常葉大学造形学部へ移る。北海道大学エクセレント・ティーチャーズに4年連続で選出、グッドデザイン賞、キッズデザイン賞、朝日新聞社 朝日VRアワード 自然部門賞など受賞歴多数。編集統括を担当した著作に『北大キャンパスガイド』(北海道大学出版会/2021年3月発行)がある。

ウェブデザイナーとしての実務経験を活かし、大学で情報デザインなどを教える村井貴さん。活動範囲は学内にとどまらず、サイエンスカフェを開催して「サイエンスコミュニケーション」を推進するなど、学生、専門家、地域の人々をつなぐ“場”をデザインされています。会社員からキャリアチェンジして教える立場になり、子ども時代に公文式で学んでいたことが役に立ったと振り返る村井さん。どんな点が有益だったのでしょうか。現在のお仕事につかれることになったきっかけや、サイエンスコミュニケーションを実践する意義などについてもうかがいました。

東日本大震災を機に
「自分のスキルを社会に還元しよう」と決意

村井貴さん

小、中、高校と、デジタルに慣れ親しんでいた私ですが、高校時代に思いがけず小説に目覚めることになりました。夏目漱石など教科書の常連作家や、村上春樹など現代小説を好んで読んでいましたが、中でものめりこんだのが太宰治でした。太宰を深く理解するには文学部に進学するのがよいと考えて、大学は文学部に進みました。

専攻の授業はまじめに出席してはいましたが、むしろハマったのは必修科目の「情報」の授業でした。そこでウェブデザインに出会ったんです。元々、デジタルなものに接する機会の多かった私にとって、ウェブの世界の先進性は極めて新鮮で、以来、前のめりになってウェブデザインを勉強しました。

そしていざ、将来をどうするかというとき、教授にこう尋ねました。

「自分がこのまま大学院に進学したら、文学の分野で大学教員になれますか?」

教授の答えはノーでした。文学系の教員はすでに飽和状態でポストがなく、あっても熾烈な競争であると教えられました。そこで私は考えました。時は、ちょうどIT革命といわれ始めた頃。これからはインターネットが主流になるだろう。では、もうひとつの得意分野であるウェブデザインの道に進もう、と。

ただ、大学教員への思いも捨ててはいませんでした。ウェブ制作のスキルを使って、研究系の教員ではなく、「実務家教員」という道もあるかもしれない。そこを目指すには実社会での経験が相当必要だと考え、出版社など複数の会社でウェブ制作の実務経験を積みました。

転機となったのは、2011年の東日本大震災です。東京でウェブデザイナーとして働いていた私は、連日のようにメディアで報道される被災地の映像を見ながら自分の働き方を見つめ直すようになりました。このまま会社員として働くのではなく、もともと希望していた大学教員となって、自分の学びを社会に還元したい、と。

そこで、修士を取得するため、産業技術大学院大学に社会人学生として入学。32歳のときでした。その後、大学院修了のタイミングで北海道大学に就職し、サイエンスコミュニケ-ションに出会ったというわけです。

「生き抜く力」を育てるとは?

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